いんとうかんせんしょう(りんきん・くらみじあ)
咽頭感染症(淋菌・クラミジア)
いんとうかんせんしょう(りんきん・くらみじあ)
咽頭感染症(淋菌・クラミジア)
咽頭感染症(淋菌・クラミジア)とは
咽頭への淋菌・クラミジア感染は、オーラルセックスが原因で起こります。
オーラルセックスが性感染症の原因になることを知らない人も多く、またうがい薬で殺菌すれば、感染しないだろうと安易に考えられているため、咽頭淋菌感染者や咽頭クラミジア感染者が近年増加しています。
また治療には、性器に感染したものと比べて、治療に時間がかかるケースもあります。
オーラルセックスが性感染症の原因になることを知らない人も多く、またうがい薬で殺菌すれば、感染しないだろうと安易に考えられているため、咽頭淋菌感染者や咽頭クラミジア感染者が近年増加しています。
また治療には、性器に感染したものと比べて、治療に時間がかかるケースもあります。
感染経路
咽頭の淋菌・クラミジア感染は、淋菌・クラミジア感染者の尿道分泌物や腟分泌物や唾液が咽頭粘膜に接触することで起こります。
主な感染経路
性的感染
性交渉(オーラルセックス)
性交渉(オーラルセックス)
性器淋菌感染者の10~30%は咽頭にも淋菌の感染があるといわれています。
また、女性の性器クラミジア感染者の10~20%は咽頭にもクラミジアの感染があるといわれています。
また、女性の性器クラミジア感染者の10~20%は咽頭にもクラミジアの感染があるといわれています。
症状と潜伏期間
風邪に似た症状で、ほとんどの感染者に自覚症状がないのが特徴です。- のどの腫れ
- のどの痛み
- のどの発赤
- 発熱(微熱)など
- のどの腫れ
- のどの痛み
- のどの発赤
- 発熱(微熱)
- 中耳炎など
検査について
◎検査を受けられる機関
● 病院・医療機関(耳鼻咽喉科・婦人科・泌尿器科・性病科)
※咽頭淋菌・咽頭クラミジアの診察につきましては、対応していない場合もございますので、事前に電話確認のうえ、受診されることをお勧めします。
◎咽頭検体の採取法
採取検体 | 検体の特徴 |
---|---|
綿棒(スワブ) | 綿棒を用いて咽頭をぬぐい、粘膜細胞や粘膜付着物を採取する。淋菌についてはスワブ検体を用いて鏡検法や培養法が行われる。 採取の際は、うがい液採取に比べて患者への負担が大きい。 |
うがい液 | うがい液の採取は患者の負担が少なく、採取が簡便であり、スワブに比べ広範囲に及んで検体採取が可能である。うがいで採取された粘膜細胞や粘膜付着物を用いて遺伝子検査等を行う。 厚生労働省ホームページより、咽頭擦過検体(スワブ検体)の代わりに咽頭うがい液で検査を行う方が菌を検出しやすいという報告もあります。 |
◎検査の種類と方法
検査法 | 検査原理 | 特色 |
---|---|---|
核酸増幅法 (咽頭淋菌) (咽頭クラミジア) |
リアルタイムPCR法、SDA法やTMA法などで検体中の淋菌・クラミジアが有する遺伝子を増幅させて検出する。 | 遺伝子を増幅させて測定するため、感度が高く、SDA法やTMA法では淋菌、クラミジアの同時検査が可能である。また淋菌においては口腔内の常在菌との交差反応がないため、特異性が高く、偽陽性が出にくい。 |
グラム染色・鏡検法 (咽頭淋菌) |
咽頭擦過検体(スワブ検体)をグラム染色した後、顕微鏡で観察する。グラム陰性双球菌が観察されれば淋菌と強く推定される。 | 迅速診断として極めて有用で、尿道炎における診断には必須であるが、子宮頸管、咽頭、直腸など淋菌以外の他の細菌が多く存在する部位では推奨されない。 |
淋菌培養法 (咽頭淋菌) |
咽頭擦過検体(スワブ検体)を選択培地等を用いて培養する | 薬剤感受性試験(病原体に有効な薬剤を見つける検査)が実施できるので、多剤耐性淋菌の増加に伴い積極的に推奨される。検査結果が出るまでに一定の時間を要する。 |
検査法
核酸増幅法
(咽頭淋菌)(咽頭クラミジア)
(咽頭淋菌)(咽頭クラミジア)
検査原理
リアルタイムPCR法、SDA法やTMA法などで検体中の淋菌・クラミジアが有する遺伝子を増幅させて検出する。
特色
遺伝子を増幅させて測定するため、感度が高く、SDA法やTMA法では淋菌、クラミジアの同時検査が可能である。また淋菌においては口腔内の常在菌との交差反応がないため、特異性が高く、偽陽性が出にくい。
検査法
グラム染色・鏡検法
(咽頭淋菌)
(咽頭淋菌)
検査原理
咽頭擦過検体(スワブ検体)をグラム染色した後、顕微鏡で観察する。グラム陰性双球菌が観察されれば淋菌と強く推定される。
特色
迅速診断として極めて有用で、尿道炎における診断には必須であるが、子宮頸管、咽頭、直腸など淋菌以外の他の細菌が多く存在する部位では推奨されない。
検査法
淋菌培養法
(咽頭淋菌)
(咽頭淋菌)
検査原理
咽頭擦過検体(スワブ検体)を選択培地等を用いて培養する
特色
薬剤感受性試験(病原体に有効な薬剤を見つける検査)が実施できるので、多剤耐性淋菌の増加に伴い積極的に推奨される。検査結果が出るまでに一定の時間を要する。
※当所ではうがい液を用いたリアルタイムPCR法で検査を行っています。
予防
オーラルセックスが一般的になった今では、咽頭の淋菌、クラミジア感染を完全に予防することは非常に難しいと考えられます。
パートナーの咽頭に淋菌感染、又はクラミジア感染があった場合には、検査を受けることで、ピンポン感染(お互いに移したり移されたりを繰り返すこと)を防ぐことができます。
また、性器に淋菌・クラミジアの感染があった場合、パートナーは咽頭に自覚症状がなくても、咽頭淋菌・咽頭クラミジアの検査を受けることが大切です。
パートナーの咽頭に淋菌感染、又はクラミジア感染があった場合には、検査を受けることで、ピンポン感染(お互いに移したり移されたりを繰り返すこと)を防ぐことができます。
また、性器に淋菌・クラミジアの感染があった場合、パートナーは咽頭に自覚症状がなくても、咽頭淋菌・咽頭クラミジアの検査を受けることが大切です。
性的感染からの予防
オーラルセックスでも、コンドームを正しく使用する。
治療法
咽頭淋菌の治療には淋菌に、咽頭クラミジアの治療にはクラミジアに効果のある抗菌剤(抗生物質)を用います。咽頭淋菌
● 静脈注射(セフトリアキソン)
服用期間 :
静脈注射の単回投与 ~ 複数回投与
治癒判定 :
咽頭感染は、性器の感染と比較して、抗菌剤が効きにくく、治療に時間がかかる傾向があります。完治したことが確認できるまで、医師の判断に従うことが大切です。
咽頭クラミジア
● 抗菌剤の経口服用・点滴投与 (テトラサイクリン系、マクロライド系、ニューキノロン系など)
服用期間 :
おおよそ1~ 14 日間(抗菌剤の種類によって異なります)
治癒判定 :
投薬開始2 ~3週間後に核酸増幅法などを用いて陰転化(治癒)の確認を行います。過去に感染した場合、持続的に陽性となる血清抗体検査では治癒判定はできません。
咽頭感染についてのQ&A
- 咽頭淋菌・咽頭クラミジアは服用後、どのくらい経過すれば、陰性の確認ができますか。
-
咽頭淋菌は、性器の淋菌感染症に比べ、治療に時間がかかる傾向があり、治療後3日~7日に治癒判定検査を行う必要があります。
咽頭クラミジアも性器クラミジアに比べ、治療に時間がかかるケースもあり、投薬開始2~3週間後に、治癒判定検査を行います。 - 咽頭淋菌・咽頭クラミジアは、キスで移りますか。
-
咽頭に淋菌やクラミジアが、感染している人の唾液に接する機会があれば、感染する可能性はあります。
淋菌やクラミジアのほか、梅毒なども口から口へと感染する可能性があります。 - 咽頭感染は治りにくいですか。
-
咽頭感染は、性器の感染に比べ、治療に時間がかかるという報告があります。
この理由としては、投与された薬剤の効果の現れ方が感染部位によって違ってくることが考えられます。 - 咽頭感染は、性器の淋菌・クラミジアで服用する薬で治療できますか。
-
咽頭淋菌の治療には、注射薬としてセフトリアキソンや、セフォジジムが使用され、これらは、性器の淋菌感染にも有効です。
咽頭クラミジアの治療には、性器クラミジア感染と、同じ薬剤が使用されます。 - 咽頭淋菌と咽頭クラミジアは、自然治癒しますか。
-
咽頭淋菌や咽頭クラミジアは、治療しない限り、治癒しません。
オーラルセックスなどのあと、咽頭に気になる症状があるときは、医療機関で受診することが大切です。
咽頭淋菌、咽頭クラミジアは、感染していても症状が出難い疾患ですので、症状が全くないからと言って感染していないとはいえず、検査を受けることが何より大切です。