HIVかんせんしょう/AIDS(えいず)
HIV感染症/AIDS(エイズ)
HIVかんせんしょう/AIDS(えいず)
HIV感染症/AIDS(エイズ)
HIV感染症/AIDS(エイズ)とは
提供元:国立感染症研究所
HIVは、Human Immunodeficiency Virus (ヒト免疫不全ウイルス)というウイルスの頭文字をとった略称で、ヒトの体を病原体(細菌、カビ、ウイルス)などから守るのに重要な役割を果たす免疫細胞に感染するウイルスです。
AIDSはAcquired Immuno-Deficiency Syndrome(後天性免疫不全症候群)という病気の略称です。HIVが免疫細胞に感染すると、この細胞の中でHIVが増殖し免疫細胞を破壊していきます。その結果、免疫機能が低下し、厚生労働省が定めた合併症(23疾患)のいずれかを発症した場合、AIDS(エイズ)と診断されます。
AIDSはAcquired Immuno-Deficiency Syndrome(後天性免疫不全症候群)という病気の略称です。HIVが免疫細胞に感染すると、この細胞の中でHIVが増殖し免疫細胞を破壊していきます。その結果、免疫機能が低下し、厚生労働省が定めた合併症(23疾患)のいずれかを発症した場合、AIDS(エイズ)と診断されます。
提供元:国立感染症研究所
感染経路
HIVは HIV感染者の血液、精液、膣分泌液、母乳などに多く含まれています。感染は、粘膜(腸管、膣、陰茎亀頭、口腔内など)および血管に達するような表皮の傷からであり、傷のない皮膚からは感染しません。
主な感染経路
性行為によるパートナーからの感染
性交渉・アナルセックス・オーラルセックス
性交渉・アナルセックス・オーラルセックス
注射針・注射器
薬物・覚醒剤の回し打ちなど
薬物・覚醒剤の回し打ちなど
母子感染
HIVに感染している母親からの感染:子宮内・出産時・母乳からの感染
HIVに感染している母親からの感染:子宮内・出産時・母乳からの感染
輸血・臓器移植
HIVが含まれている血液の輸血、臓器移植などを行った場合
HIVが含まれている血液の輸血、臓器移植などを行った場合
※唾液、涙、尿などの体液では他のヒトに感染させるだけのウイルス量は含まれていません。
こういうことでは感染しません。
- 汗、涙、だ液、咳、くしゃみからの感染(飛沫感染)
- 電車のつり革、階段の手すりからの感染
- 食器類共用での感染
- 風呂、洗面台、便座の共用での感染
- 蚊からの感染
症状と潜伏期間
HIV感染後は、初期にインフルエンザに似たような症状がでることもありますが、6ヶ月から10年以上の間、ほとんどの場合、無症状です(平均8年~10年間無症状)。
そのまま治療しないでいると免疫力が低下し続け、約5年~10年でエイズ発症となります。
そのまま治療しないでいると免疫力が低下し続け、約5年~10年でエイズ発症となります。
病期 | 経過期間 | 症状 |
---|---|---|
病期
HIV感染初期
|
経過期間
2~4週間
|
症状
発熱・のどの痛み・リンパ節の腫れなど、インフルエンザに似た症状が現れることがあるが、2週間ほどで消えてしまう。(HIV初期症状)
|
病期
無症候期
|
経過期間
(3ヶ月)
|
症状
(HIVの抗体が十分に産生され、血液中に出現し、HIV抗体検査が可能となる)
無症状が続く
適切な時期に治療を開始することで、エイズ発症を遅らせることができます。
|
病期
エイズ発症期
|
経過期間
数年~10年以上
|
症状
発熱・下痢・極度の倦怠感・体重減少などが現れる。(エイズ関連症候群)
厚生労働省が定めた合併症(23疾患)のいずれかを発症した場合、エイズ発症という。 【23疾患の例】 カポジ肉腫、悪性リンパ腫、ニューモシスチス肺炎、口腔カンジダ症 など |
病期
HIV感染初期
経過期間
2~4週間
症状
発熱・のどの痛み・リンパ節の腫れなど、インフルエンザに似た症状が現れることがあるが、2週間ほどで消えてしまう。(HIV初期症状)
病期
無症候期
経過期間
(3ヶ月)
症状
(HIVの抗体が十分に産生され、血液中に出現し、HIV抗体検査が可能となる)
無症状が続く
適切な時期に治療を開始することで、エイズ発症を遅らせることができます。
病期
エイズ発症期
経過期間
数年~10年以上
症状
発熱・下痢・極度の倦怠感・体重減少などが現れる。(エイズ関連症候群)
厚生労働省が定めた合併症(23疾患)のいずれかを発症した場合、エイズ発症という。 【23疾患の例】 カポジ肉腫、悪性リンパ腫、ニューモシスチス肺炎、口腔カンジダ症 など
検査について
◎検査を受けるタイミング
HIVに感染した場合、HIVに対する抗体が血液中に出現し、抗体検査で検出できるようになるまでに感染機会から、4~8週間程度かかるとされています。(個人差があります)
したがって感染している場合は、4週間後くらいから陽性 (+) に判定される可能性があるので、4週間前後の早い時期からでも、検査を受ける意味はありますが、その際に陰性 (-) の判定であっても確実に陰性であるとはいえません。確実に陰性 (-) を確認したい場合には、感染機会から3ヶ月以降に抗体検査を行うことが必要です。
HIV感染が疑われる行為から、3ヶ月未満におけるHIV抗体検査の検査結果の捉え方につきましては、下図を参照ください。
したがって感染している場合は、4週間後くらいから陽性 (+) に判定される可能性があるので、4週間前後の早い時期からでも、検査を受ける意味はありますが、その際に陰性 (-) の判定であっても確実に陰性であるとはいえません。確実に陰性 (-) を確認したい場合には、感染機会から3ヶ月以降に抗体検査を行うことが必要です。
HIV感染が疑われる行為から、3ヶ月未満におけるHIV抗体検査の検査結果の捉え方につきましては、下図を参照ください。
感染が疑われる行為からの経過日数による結果の捉え方
※重要
確実に陰性(-)を確認したい場合は、3ヶ月未満でのHIV抗体検査が陰性であっても、3ヶ月後に再びHIV抗体検査を行い、結果が陰性(-)であることを確認することが必要です。
◎検査を受けられる機関
HIV検査は全国の保健所などでも受けることはできますが、時間や曜日が決まっていたり予約が必要な場合があります。こちらのサイトをご参照ください。
HIV 検査相談マップ
HIV 検査相談マップ
◎検査の種類と方法
「スクリーニング検査」と「確認検査」の2段階を経て、HIV感染の判定をします。
スクリーニング検査とは、多くの人の中から疑わしい人を見つけ出す検査のことをいいます。
スクリーニング検査だけでは、HIV感染を確定することはできませんので、スクリーニング検査で陽性の場合、必ず確認検査で本当に感染しているのかを確認する必要があります。
スクリーニング検査だけでは、HIV感染を確定することはできませんので、スクリーニング検査で陽性の場合、必ず確認検査で本当に感染しているのかを確認する必要があります。
スクリーニング検査
PA法
(抗体検査)
偽陽性(実際は陰性だが、陽性反応を示すこと)は1000人に2~3人程度。 判定は目視なので、判断に迷う判定(反応像)にも、陽性判定と同様に確認検査が必要となる。確実な結果を得るためには感染機会から3ヵ月後の検査が必要。第3世代検査。
CLIA法
ELISA法
ECLIA法
(抗体検査)
(抗原・抗体検査)
偽陽性はPA法と同程度。HIVの抗体のみを検出する第3世代検査と、HIV-1の抗原と抗体及びHIV-2抗体を同時に検出することができる第4世代検査がある。
第4世代の抗原抗体検査は第3世代の抗体検査よりも早期に検出することができる。
第4世代の抗原抗体検査は第3世代の抗体検査よりも早期に検出することができる。
イムノクロマト法
(抗体検査)
(抗原・抗体検査)
保健所等で使用している。
偽陽性は100人に1人程度。判定時間が15分と短く、即日で検査結果を通知できる。
確実な結果を得るためには感染機会から3ヵ月後の検査が必要。第3世代検査および第4世代検査。
偽陽性は100人に1人程度。判定時間が15分と短く、即日で検査結果を通知できる。
確実な結果を得るためには感染機会から3ヵ月後の検査が必要。第3世代検査および第4世代検査。
※ 当所ではECLIA法(第4世代)で検査を行っています。
検査精度については、保健所等で行っている検査と同程度です。
検査精度については、保健所等で行っている検査と同程度です。
確認検査
IC(イムノクロマト)法
(抗体検査)
真に陽性なのか陰性なのかを確認する特異性の高い検査。
従来行われていたWB(ウェスタンブロット)法に比べ早期に検出できたり交差反応が少ない。
従来行われていたWB(ウェスタンブロット)法に比べ早期に検出できたり交差反応が少ない。
核酸増幅検査
(NAT検査)
検査の感度が非常に高い。
検査に時間と技術を要し、限られた施設でのみ検査を行うことができる。
感染してから18日前後で検査可能。
検査に時間と技術を要し、限られた施設でのみ検査を行うことができる。
感染してから18日前後で検査可能。
当所では、スクリーニング検査で陽性(感染している疑いがある判定)の場合には、慎重に再検査を行い、さらに外部の検査所にIC法を依頼し、確実性に高い結果をお出しします。
スクリーニング検査の他に確認検査を行う理由は、HIV抗体スクリーニング検査ではHIVに感染していないのにもかかわらず、何らかの理由で検査結果が陽性(にせの陽性)となる人が通常1000人に数人程度いるためです。
したがってHIV抗体スクリーニング検査で陽性判定の場合は、その陽性結果が本当にHIV感染による陽性なのかを確認する必要があります。
したがってHIV抗体スクリーニング検査で陽性判定の場合は、その陽性結果が本当にHIV感染による陽性なのかを確認する必要があります。
※当所の確認検査で陽性と判定が出た場合でも、医療機関にて再度確認検査を行う必要があります
予防
性的感染からの予防
性交渉の際はコンドームを正しく使用する。
他人の血液に触れない
具体的には以下のようなことに気をつけましょう。
・他人の血液に直接触れないようにする。
・注射器、歯ブラシ、カミソリなどの共用はしない。
母子感染からの予防
HIV母子感染の自然感染率は約20~40%と言われていますが、妊婦への抗HIV剤投与や帝王切開等を行うことで、母子感染率を1%未満に抑制できることが明らかになっています。
治療法
● 適切な時期に抗HIV薬を内服することでHIVの増殖を抑えます。
● 日和見感染症を発症した場合は、それに対する治療を行います。
● 免疫力とウイルス量を定期的に検査します。
● 日和見感染症を発症した場合は、それに対する治療を行います。
● 免疫力とウイルス量を定期的に検査します。
現在、HIVを完全に除去させる薬はありません。
しかし、HIV感染症の治療法は近年めざましく進歩し、抗HIV薬を服用することにより、発症を遅らせ、感染していても健康を回復したり、維持したりすることができるようになり、死亡率も低下しています。
日本で多剤併用療法が可能になってからエイズの臨床経過が大きく変わりました。患者の生命予後は著しく改善され、かつて言われた「死に至る感染症」は「コントロール可能な慢性感染症」へとなってきています。
HIVの治療を行う拠点病院診療案内≫
しかし、HIV感染症の治療法は近年めざましく進歩し、抗HIV薬を服用することにより、発症を遅らせ、感染していても健康を回復したり、維持したりすることができるようになり、死亡率も低下しています。
日本で多剤併用療法が可能になってからエイズの臨床経過が大きく変わりました。患者の生命予後は著しく改善され、かつて言われた「死に至る感染症」は「コントロール可能な慢性感染症」へとなってきています。
HIVの治療を行う拠点病院診療案内≫
もし、HIVに感染していることがわかった場合には・・・
HIV検査で陽性(感染している)と分かった場合、今の免疫状態を知るために、現在の体調に問題がない方も、早い時期に専門病院を受診することが大切です。
専門的な治療を受けられる医療機関・医師のもとで、まず現在の健康状態を知り、また今後の健康管理と治療の相談をしてください。
症状がなくても、定期的な検査を受け適切な時期に治療を開始することでエイズ発症を遅らせることが可能です。また、現在の日本では様々なサポート体制が整っているので、それらを利用することができます。
専門的な治療を受けられる医療機関・医師のもとで、まず現在の健康状態を知り、また今後の健康管理と治療の相談をしてください。
症状がなくても、定期的な検査を受け適切な時期に治療を開始することでエイズ発症を遅らせることが可能です。また、現在の日本では様々なサポート体制が整っているので、それらを利用することができます。
-
◎専門病院で受けられる医療最新の医療情報に基づき適切なアドバイスを受けることができます。治療の主な内容は、定期的な血液検査と内服薬の服用です。薬の処方は、血液検査の結果や個人の生活スタイルを考慮してその内容や服薬時間が決められます。
-
◎医療費の支給があります高額医療費・障害認定・更正医療など、検査や治療にかかった費用を補助する制度があります。専門病院の医療福祉相談員や看護師におたずねください。
-
◎プライバシーの保護について医療における個人情報は保護されています。あなたに無断であなたの個人情報をご家族やパートナーに知らせることはありません。安心して医療機関や各種サービスをご利用ください。
-
◎日常生活について
-
○体力(免疫力)を維持する生活スタイルを心掛ける
規則正しい生活、十分な栄養、ストレスを溜めない生活を送るようにします。 -
○家族への感染予防
食事・入浴・施設の共有など日常生活で感染することはありません(感染力をもつものは、血液・精液・膣分泌液・母乳等の体液だけです)ので、特に制限はありません。 -
○パートナーへの感染予防
セックスでは相手に感染させる恐れがあるのでコンドームを使用するなど予防を確実に行ってください。また、既に感染している可能性のあるパートナーには、検査を受ける事をすすめてください。
-
○体力(免疫力)を維持する生活スタイルを心掛ける
HIVについてのQ&A
- 体外に出た血液から、HIVに感染することはありますか。
-
HIV(ヒト免疫不全ウイルス)は、体外に出るとただちに不活化し、感染力を失っていきます。
血液を介してのHIV感染は血液に濃厚に接触しなければ成立しません。
したがって、日常の生活で、HIVに感染することはありません。
- 不安な行為があってからすぐにHIV検査をしても大丈夫ですか。
-
HIV感染初期では、どのような検査を行っても、検査結果が陰性に出てしまう期間があり、これを「ウィンドウ期」と呼びます。
ウィンドウ期には、HIVが血液中に出現するまでの期間(感染機会から約1週間後)と、HIVが血液中に出現してからHIV検査で陽性となるまでの期間に区別されます。
後者の期間は、検査方法によって長さが異なり、HIVが血液中に出現してから
約11日後(感染機会から約18日後)には、核酸増幅検査(NAT検査)、
約22日後(感染機会から約29日後)には、抗体検査
で、検出できるようになります。
しかし抗体検査の場合、HIV抗体が血液中に出現するまでの期間が個体差や感染状況によって異なるため、確実な結果を得るためには、3ヶ月以上経ってから検査を実施することが望ましいと言えます。
- キスで、HIV感染はしますか。
-
HIVが直接、血液の中に入ってこない限り、HIV感染の心配はありません。
しかし、口内炎や、傷からなど、口腔内の出血などの条件によっては、感染の可能性があります。 - オーラルセックスで、HIV感染の危険はありますか。
-
粘膜のある口腔を使用しての性行為では、HIVに感染する可能性があります。
HIVウイルスは精液や膣分泌液にも存在しています。オーラルセックスでも、精液や膣分泌液が直接口に入ることから、感染の危険があります。
オーラルセックスの際も、きちんとコンドームを使用することで、感染の確率を下げることができます。 - 性交渉後、HIV感染の初期症状に似た症状がありましたが、HIVに感染しているのでしょうか。
-
HIV感染後、およそ2~4週間後に感染者によっては風邪やインフルエンザに似た症状(発熱やリンパ節の腫れ、筋肉痛、関節痛など)が現れ、数日から数週間で症状は消失するものを「初期症状」と言われていますが、HIVに感染しても必ず初期症状があるということもなく、初期症状のようなものがあったからといって、HIVに感染しているとは言えません。
HIV感染の有無を知るためには、感染が疑われる日から3ヶ月以上経過してからHIV検査を行うことが唯一の方法となります。
当所はECLIA法(電気化学発光免疫測定法)=第4世代検査=を行っております。 - 「いきなりエイズ」とは、何ですか。
-
HIVに感染してから、その後長期間、HIV感染に気づかず、エイズを発症して初めてHIVに感染したことに気づかされる状態を言います。
厚生労働省が公表している『新規エイズ患者』がこのいきなりエイズに該当します。
ここ数年間では、毎年400~500人の新規エイズ患者が報告されています。 - セックスの時、コンドームはいつ着けると効果的ですか。
-
HIVは、膣分泌液やカウパー腺液(先走り液)にも存在しています。膣内の粘膜や陰茎亀頭の粘膜はたいへん傷つきやすく、このため、勃起したらすぐにコンドームを装着する必要があります。
HIV感染を予防するには、最初から最後まで正しくコンドームを装着することが何よりも大切で、射精前や途中からの装着では感染を防ぐことはできません。
HIV検査を含む、おすすめ検査
医療用具番号 届出番号:21900BZX00737000