不整脈のまとめ
- ①生理的な不整脈と病気が原因の不整脈の二種類ある
- ②放置すると心不全や脳梗塞の原因になる場合がある
- ③原因はさまざまな為、誰もがなる可能性がある
- ④まずは生活習慣を見直し、定期的な健康チェックを受けることも大切
不整脈は長く放置するとリスクもあるため、自覚症状がある場合は、早めの検査をおすすめします。
本記事では、不整脈の自覚症状や放置するリスク、不整脈の原因、検査・治療薬に関して詳しく解説します。
当てはまる症状がないかチェックしてみましょう。
不整脈とは文字どおり不規則に脈打つことで、脈のスピードが速くなったりゆっくりになったりする状態です。
脈が不規則になるということは、心臓が正しく拍動していません。
不整脈は放置しても大丈夫と聞いたことがある人もいるかもしれませんが、不整脈は放置していいケースとすぐに治療すべきケースがあり、自分で判断してしまうのは危険です。
不整脈は大きく分けて二つの種類があります。
運動をしたときや興奮したとき、発熱したときなど、いつもより脈が速くなるのを感じたことは誰にでもあるのではないでしょうか。
運動したときや精神的に興奮したとき、心臓は血液量を増やして酸素を取り込もうとし、いつもよりもポンプ運動をします。
また発熱などの場合も、不足している水分を増やすためにいつも以上にポンプ運動をし、心臓が速く動き不整脈になってしまうのです。
【生理的な不整脈が進行するケースもある】
運動、精神的な興奮、発熱などで不整脈になってしまうのは、生理的な現象なので誰にでも起こります。
ただ、年齢を重ねると生理的な不整脈で脈が速くなったり遅くなったりするのではなく、脈が飛んでしまう期外収縮という現象が起きることがあるのです。
短時間で何度も期外収縮が起きると、めまいや動機を引き起こすことがあります。
心臓・甲状腺のホルモン・血液中の電解質イオン・自律神経などに異常をきたしている場合、不整脈になることがあります。
何が原因で不整脈が起きているかで治療が必要かどうかは変わってきますが、最悪の場合は死に至ってしまうこともあるので注意が必要です。
健康診断で不整脈であることがわかっても、経過観察とされるケースが多いため、不整脈は放置しても大丈夫と考える人も多いのかもしれません。
不整脈にはどのような自覚症状があるのでしょうか。
頻脈とは1分間の脈拍が100以上のことをいいます。
頻脈の場合に起こる自覚症状は動悸や息切れです。
激しい運動をしていないにも関わらず、急に息切れや胸に痛みを感じてしまうこともあるでしょう。
徐脈とは1分間の脈拍が50以下のことをいいます。
徐脈の場合に起こる自覚症状は、めまいです。
突然目の前が暗くなるといった症状を感じる人もいます。
重症の場合は、失神してしまうこともあるでしょう。
不整脈は一時的に脈拍が乱れて動悸や息切れ、めまいなどの自覚症状が出ます。
ただ、不整脈の状態はずっと続くわけではなく、一時的に起きてその後正常に戻るため、脈が正常に戻れば動悸、息切れ、めまいなど症状は消えてしまいます。
激しい運動をしたときに息切れやめまいがあっても、時間が経つと元に戻るという経験をしたことがある人もいるでしょう。
症状が一時的なため、調子が悪かったなと不整脈に気付かない人も多くいます。
【不整脈を長く放置するリスク】
頻繁に不整脈が起きている場合、それを放置すると徐々に心臓がダメージを受けます。
その結果、心臓の機能が低下して心不全を引き起こしてしまうことがあるので注意が必要です。
また、血栓ができてしまいやすく脳梗塞の原因になることもあるため、自己判断で不整脈を長く放置するのはやめましょう。
重篤な病気を引き起こしてしまう可能性のある不整脈は、どうして起きてしまうのでしょうか。
不整脈の原因はさまざまなものがありますが、代表的なものを紹介します。
① 心臓の病気
不整脈の原因として代表的なのは心臓の病気です。
心臓を動かす筋肉に異常が生じて発症する心筋梗塞、ポンプ運動の機能が低下する心不全、心臓の内部にある弁が正常ではなくなり、血液を送り出す機能に支障をきたす心臓弁膜症、冠動脈が閉塞して心筋が壊死してしまう心筋梗塞など、さまざまな心臓に関する病気が原因で不整脈が起こります。
②心臓以外の病気
不整脈の原因となってしまう病気は心臓の病気だけではありません。
慢性閉塞性肺炎など重篤な肺の病気は不整脈を起こしてしまう原因となります。
甲状腺の病気によるホルモンの乱れも不整脈の原因の一つです。
また、心臓以外の病気で不整脈を引き起こすリスクが非常に高いと言われているのが高血圧です。
高血圧の人は心臓に大きな負担が常にかかっている状態のため、不整脈が起こりやすくなっています。
③ 服用している薬
服用している薬の種類によっては、不整脈を引き起こしてしまう可能性があります。
不整脈の原因になると言われている薬は、降圧剤や抗うつ剤などです。
全ての降圧剤・抗うつ剤が不整脈を引き起こすわけではありませんが、これらの薬を服用していて不整脈の症状があるのであれば、医師に相談しましょう。
また、不整脈を防ぐための抗不整脈薬が、不整脈を引き起こすこともあります。
抗不整脈薬は頻脈の治療に使われる薬ですが、薬が効きすぎて脈の回数が少なくなる徐脈を引き起こすこともあります。
④乱れた生活習慣
過度のストレスや睡眠不足、過労、過度なアルコール摂取、コーヒーの飲み過ぎ、喫煙などの生活習慣も不整脈の原因の一つです。
これらの乱れた生活習慣は、交感神経を刺激してしまうため、脈が乱れる原因となってしまいます。
また、肥満体質の人も不整脈を引き起こしやすいです。
⑤加齢
60歳を過ぎると不整脈になってしまう人は増加します。
年齢を重ねるのはどうしようもないことなので、誰にでも不整脈が起きるリスクはあります。
年齢を重ねたら不整脈になる可能性があると自覚して生活習慣に気をつけ、少しでもおかしいと思ったら検査を受けるようにするといいでしょう。
不整脈かどうかは、自分で調べることができます。
てのひらを上に向け、人差し指・中指・薬指で自分の脈を測ってみましょう。
10〜15秒くらい脈を測ってみて、脈が一定でなかった場合は、さらに1〜2分程度脈を測ります。
正常な脈拍の人は、1分間で60〜100程度です。
脈を測るタイミングは朝起きたときと、夜眠りに入る前が適しています。
このタイミングは脈が安定している状態なので、何日か繰り返しチェックして、脈は正常かどうか調べてみましょう。
【このような場合は病院で検査を受けよう】
自分で脈をチェックして脈の乱れを感じ、普段から動悸や息切れ、めまい、胸の痛みなどを感じている場合はできるだけ早く病院を受診してください。
不整脈は誰にでも起こりうるもので、不整脈だからといって誰もが重篤な病気を引き起こすわけではありません。
ただ、普段から不整脈でよくある自覚症状を感じているのであれば、病気を引き起こして失神したり、最悪の場合はとつぜん死に至ってしまうこともあります。
必要以上に恐れる必要はありませんが、まずは病院を受診して医師に診断してもらいましょう。
不整脈の疑いがあるときは、どのような検査や治療薬で治療を行っていくのでしょうか。
代表的な検査方法と治療方法、治療薬について解説します。
不整脈の検査を行うときは、循環器内科を受診します。
ただ、かかりつけ医がいる場合はそこに受診し、専門的な検査が必要かどうか判断してもらうといいでしょう。
多くの場合は心電図を使った検査が行われます。
一般的な健康診断で行われるのは、手首と足、胸に器具をつけて行う安静時12誘導心電図検査です。
不整脈の疑いが強い場合は、24時間心電図が行われることもあります。
また、それ以外にも心臓超音波検査や胸部レントゲン検査、CT検査、心臓電気生理検査などが行われるケースもあるようです。
不整脈の治療は薬を使って行う薬物治療か、ペースメーカーを使ったデバイス治療、カテーテルアブレーションや外科的手術を行う方法などがあります。
不整脈でも頻脈の場合は薬物治療が一般的です。
徐脈の場合はペースメーカーを埋め込むことが多いですが、軽度の場合は薬物治療が行われることもあります。
不整脈の治療薬として使われる薬は、以下のようなものがあります。
・ナトリウムチャネル遮断薬(クラスⅠa群):シノベールなど
・ナトリウムチャネル遮断薬(クラスⅠb群):アスペノンなど
・ナトリウムチャネル遮断薬(クラスⅠc群):サンリズムなど
・β(ベータ)遮断薬(Ⅱ群):セロケンなど
・αβ(アルファベータ)遮断薬:アーチストなど
・カリウムチャネル遮断薬(Ⅲ群):アンカロンなど
・カルシウム拮抗薬(Ⅳ群):べプリコールなど
・ジギタリス製剤:ジゴシンなど
症状によって使用される薬の種類は異なりますので、医師の指示を仰ぎましょう。
さまざまな原因によって引き起こされる不整脈は、誰もがなる可能性があります。
自覚症状がある場合は、できるだけ早く病院を受診しましょう。
自己判断で放置することだけは、しないようにしてください。
また、自覚症状がない場合も、定期的な健康診断を受け、不整脈の疑いがないかチェックすることをおすすめします。