- ①クラミジアの感染者は年々増加
- ②性交渉により感染
- ③治療薬をドラッグストアなどで購入することはできない
- ④治療薬は医師の処方またはオンライン診療を利用
クラミジアは、国内で感染が増加傾向にある性感染症です。特に20代の感染者数が多く、主にパートナーとの性交渉によって感染します。
クラミジアに感染しても性病検査で発見すれば、抗生物質(抗菌薬)の投与によって完治する病気です。クラミジアの治療に使用する市販薬はどこで入手できるのか、自由に買えるのか気になる方も多いかもしれません。
本記事では、クラミジアの治療薬の種類や入手方法を詳しく解説します。
クラミジアとは?
クラミジアとは菌の名前であり病名は性器クラミジア感染症といい、性交渉などを通じて発症します。クラミジアの原因は、クラミジア・トラコマティスと呼ばれる細菌の感染で、治療の際は抗生物質を投与します。クラミジアの感染者は年々増加しており、性感染症について正しい知識を持つことが大切です。
ここでは、クラミジアの主な症状や感染経路を解説します。
◎クラミジアの主な症状
クラミジアの主な症状は以下のとおりです。
性別 | 主な症状 |
男性 | 尿道の痛みやかゆみ 尿道の不快感 尿道からの分泌物 |
女性 | おりものの増加 性交時の痛み 不正出血 |
クラミジアに感染すると、排尿時に尿道の痛みやかゆみ、違和感を感じることがあります。また、尿道から透明な分泌物が出たり、少量の膿が出たりする人もいます。
女性の場合は無症状の方がほとんどですが、おりものの増加や性交時の痛み、不正出血などの症状が出るケースもあるため、クラミジア感染が疑われる場合は医師に相談しましょう。
性感染症の中でもクラミジアは比較的症状が軽く、無症状の方も多い病気です。しかし、放置しているとクラミジア性卵管炎などを誘発し、不妊の原因となる場合もあるため、なるべく早く治療する必要があります。
◎クラミジアの主な感染経路
クラミジアの主な感染経路は、パートナーとの性交渉です。パートナーの尿道や膣から出た分泌物や唾液が、粘膜と接触することにより感染します。まれなケースですが、出産時の母子感染によりクラミジアが新生児に感染すると、封入体結膜炎や肺炎などを発症することがあります。
性交渉の際にコンドームを使用すれば、クラミジア感染対策をすることが可能です。クラミジアに感染した場合は、パートナーも感染が疑われるため、一緒に性病検査を受けましょう。
◎クラミジアの感染者は年々増加
厚生労働省の統計によると、クラミジアの感染者は年々増加していることが分かります。[注1]
年度 | 総数 | 男 | 女 |
平成24年 | 24,530人 | 11,470人 | 13,060人 |
平成25年 | 25,606人 | 12,369人 | 13,237人 |
平成26年 | 24,960人 | 11,936人 | 13,024人 |
平成27年 | 24,450人 | 11,670人 | 12,780人 |
平成28年 | 24,397人 | 11,724人 | 12,673人 |
平成29年 | 24,825人 | 12,072人 | 12,753人 |
平成30年 | 25,467人 | 12,346人 | 13,121人 |
令和元年 | 27,221人 | 13,947人 | 13,274人 |
令和2年 | 28,381人 | 14,712人 | 13,669人 |
令和3年 | 30,003人 | 15,458人 | 14,545人 |
平成24年度の感染者数は24,530人ですが、9年間で感染者数が約6,000人増加し、令和3年度の統計では30,000人の大台を突破しました。(定点医療機関での報告数)
クラミジアについての正しい知識を学び、パートナー双方が感染予防対策を行うことが大切です。
クラミジアの市販薬は自由に買える?
性病検査キットなどを用いてクラミジア感染の有無は調べることができますが、現在の日本の法律では、治療に用いる抗生物質(抗菌薬)は、ドラックストアなどで市販薬としては購入することができません。
クラミジアの治療薬が市販されていない理由は以下の2つです。
1.抗生物質の使用に専門的な知識が必要なため
2.乱用による薬剤耐性のリスクを防ぐため
それぞれ詳しく説明します。
1.抗生物質の使用に専門的な知識が必要なため
クラミジアの治療薬が市販されていない理由の1つ目は、抗生物質の使用に専門的な知識が必要なためです。抗生物質にはさまざまな種類があり、正しい薬を投与しなければクラミジアの症状は改善しません。
また、性感染症には、淋病やマイコプラズマ感染症など、クラミジアとよく似た病気がいくつかあり、患者の状態を適切に判断することも大切です。
クラミジアの治療では、他の薬との飲み合わせ(相互作用)を考慮しつつ、クラミジアに有効な抗生物質を選ぶ必要があるため、ドラッグストアなどでの販売は許可されていません
2.乱用による薬剤耐性のリスクを防ぐため
市販されていない理由の2つ目は、乱用による薬剤耐性のリスクを回避するためです。抗生物質には、乱用による薬剤耐性のリスクもあります。
医師の診断を受けず、自分勝手な抗生物質の飲み方(容量や服用期間)や自己判断による服用終了などの中途半端な治療により、薬剤に耐性を持った細菌(耐性菌)が出現する可能性があります。
このように抗生物質は厳格な管理が求められることから、国内では市販されていません。
クラミジア治療薬の種類
クラミジアの治療に使われる抗生物質は、大きくマクロライド系、テトラサイクリン系、ニューキノロン系の3種類です。
種類 | 主な治療薬 | 主な副作用 |
マクロライド系抗生物質 | アジスロマイシン(ジスロマック) クラリスロマイシン(クラリス、クラリシッド) |
嘔吐、下痢など |
テトラサイクリン系抗生物質 | ミノサイクリン(ミノマイシン) ドキシサイクリン(ビブラマイシン) |
腹痛、食欲不振、嘔吐、めまいなど |
ニューキノロン系抗生物質 | レボフロキサシン(クラビット) シタフロキサシン(グレースビット) トスフロキサシン(オゼックス、トスキサシン) |
食欲不振、吐き気、下痢など |
抗生物質には、主に胃腸の不調などの副作用があります。
また、抗生物質の種類によっては、妊娠中の方への投与が禁忌(禁じられること)とされています。クラミジア治療薬の主な種類や副作用について学びましょう。
◎マクロライド系抗生物
マクロライド系抗生物質は、クラミジアの治療でよく使われる薬の一つです。抗生物質の中でもタンパク合成阻害薬に分類され、細菌の増殖を抑える効果があります。
マクロライド系抗生物質であるアジスロマイシンには、1回のみの服用で効果が長期間持続するタイプのお薬があります。1回のみの服用のため治療途中でお薬を飲み忘れる心配がありません。
また、マクロライド系抗生物質は胎児への影響が少ないため、妊娠中の方にも処方されます。一方、嘔吐や下痢、悪心(おしん)など、副作用として胃腸の不調が出る場合があります。
◎テトラサイクリン系抗生物
テトラサイクリン系抗菌薬は、マクロライド系抗生物質と同様にタンパク合成阻害薬の一種です。細菌のタンパク合成を阻害し、細菌の増殖を抑えます。
マクロライド系抗生物質と違って、テトラサイクリン系抗菌薬は胎児の歯や骨の発育に影響を及ぼす危険性があるため、妊娠中の方への投与は禁忌です。また、腹痛、食欲不振、嘔吐などの胃腸障害のほか、めまいなどの副作用が生じることがあります。現在ではほとんど使われる機会がなく、重症の患者に投与したり、飲み薬が効かない場合に点滴を行ったりするための薬です。
◎ニューキノロン系抗生物質
ニューキノロン系抗生物質は、女性(妊婦でない方)のクラミジアによく処方される薬です。抗生物質の中でも核酸合成阻害薬に分類され、細菌の活動に必要な酵素の働きを阻害し、増殖を抑えます。
テトラサイクリン系抗生物と同様に、妊娠中の方がニューキノロン系抗生物質を使用することはできません。また、アルミニウムやマグネシウムなど、ミネラル成分と同時に摂取すると、殺菌作用が弱まります。ニューキノロン系抗生物質の主な副作用は、食欲不振、吐き気、下痢などです。
クラミジア治療薬を手に入れる方法
クラミジア治療薬を手に入れる方法は2つあります。
1.医師に相談して処方を受ける
2.オンライン診療を受ける
クラミジア治療薬を海外通販で個人輸入する方もいますが、偽物や粗悪品、不純物の混入などのリスクがあるためおすすめできません。医師の処方を受けるか、オンライン診療を通じて治療薬を入手しましょう。
1.医師に相談して処方を受ける
クラミジア治療薬は、処方箋医薬品(処方箋がないと販売・授与できない医薬品)に分類される薬です。[注2]
そのため、クラミジアの治療を受ける場合は、まず医師の診断を受け、処方箋をもらう必要があります。特にクラミジアは、淋病の症状と間違いやすいため、自己判断で薬を服用するのは危険です。
尿道の痛みやかゆみ、排尿時の不快感などを感じたら、お近くの泌尿器科や婦人科、性感染症内科に相談しましょう。
2.オンライン診療を受ける
クラミジアに感染すると体のデリケートな部位に症状が出るため、人によっては他人の目が気になったり病院に行くのが恥ずかしいと感じたりするかもしれません。対面での診察に抵抗があるからといって放置するのは避け、オンライン診療を利用する方法も検討しましょう。
クラミジアのオンライン診療の流れは以下のとおりです。
①オンライン診療を申し込み、検査キットが届くのを待つ
②検査キットを返送し、処方箋と処方薬を受け取る
オンライン診療の場合、Webでやりとりが完結します。仕事などで忙しく、通院する時間がなかなかとれない方にも向いています。
クラミジアは自然治癒せず、放置していると重症化する恐れがある病気です。クラミジアが疑われる症状が出た場合は、すぐに医師に相談し、治療薬を入手しましょう。
GMEのアフターフォローについて
GME医学検査研究所では郵送検査で陽性だった場合のアフターフォローとして『協力医療機関』や『オンライン診療との提携』をしております。
GMEで郵送検査を受けて陽性だった場合でも、スムーズに治療に進むことが可能です。
クラミジアに市販薬はない!治療の際は医師に相談を
クラミジアが疑われる症状が出たら、なるべく早く治療する必要があります。クラミジアの治療には、主にマクロライド系、テトラサイクリン系、ニューキノロン系の抗生物質が使われます。抗生物質の投与には専門的な知識が求められるため、クラミジアには市販薬がありません。
クラミジアを治療する際は、医師の処方を受けるか、在宅での診察が可能なオンライン診療を利用しましょう。
また、クラミジアは性交渉を通じて感染するため、自身とパートナー双方が定期的に性病検査を受けることも大切です。
性病検査キットなどでクラミジアに感染しているかを調べることはできますが、陽性だった場合は医師による処方を受けるかオンライン診療を利用しましょう