梅毒のまとめ
- ①感染しても症状がでるまでに3週間ほどかかる
- ②症状があったり無かったりを繰り返して潜伏する
- ③過去に治療済でも再びかかる
- ④キスやオーラルセックスでも感染する場合がある
厚生労働省の性感染症報告数によれば、梅毒の新規発症報告数は2003に509件だったのが、2016年には4575件にまで増加し、2018年には7001件になり、2022年には過去最多の1万件を超えたと報告があります。
以前は男性間での性行為による感染が多かったのですが、最近は異性間での感染が広まり、女性の割合も増加しています。
まずは梅毒がどのようなものなのか知り、予防や検査をしていきましょう。
梅毒は、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)という病原体が、皮膚や粘膜の小さな傷から体内に侵入することで感染し、やがて全身に広がり、さまざまな障害を引き起こす病気です。
梅毒トレポネーマはHIVと同様に主に血液・精液・膣分泌液を介して感染するので、日常生活において性行為以外で梅毒に感染する確率は低いとされています。
しかし、梅毒の病変部は感染力が高く、患部から分泌される分泌液等には数多くの梅毒トレポネーマが検出されます。
また病変部が口にできてしまった場合、唾液から感染する可能性もあり。キスやオーラルセックスでも気をつけたほうがよいと言われています。
梅毒は感染しても、症状がなかったり、皮膚などに症状がでても痛くないことがあります。
また、最初の症状は1ヶ月ほどで自然になくなり、気づかなかったり、治ったと思い込むことがあります。
ですが、この無症状の段階でも治ったわけではありません!
これは自然に治ったのではなく、第二期への潜伏期間なのです。
約3ヶ月で、全身の皮膚に、赤い斑点がまばらに現れ、丘疹(皮膚から盛り上がったぶつぶつ)や後頭部に脱毛がみられます。そしてまた自然に症状が消えて、無症状になりますが、梅毒はこっそりと次の症状に移行していくのです。
第3期では約3年以上後に、皮膚や内臓にゴム腫(固いしこりやこぶができ、周辺の組織を破壊)が起こります。関節炎や手足の感覚の喪失が起こる場合もあり、日常生活が営めなくなります。
昔は、このゴム腫が鼻骨にできると崩れたり陥没することがあり、この状態を「梅毒で鼻が落ちる」と言っていました。ただし現在では第3期以上に進行する場合はほとんどありませんので安心してください。
梅毒が増えた背景のひとつに、過去の性感染症で症状があまり知られていない。というのがあります。
梅毒は過去、江戸時代に流行し恐れられていましたが、ペニシリンが開発されて以降、急激に患者数は減って息をひそめました。そして現在まで梅毒は過去の性感染症として扱われたため、梅毒がどういう病気かよくわからないという人が増えていて、自分でも気づかないうちに感染し、そのまま治療せず周りへ被害を拡大している。といったことが急増の原因のひとつともいわれています。
症状が出た時に治療すればいいんじゃないの?
と思うかもしれませんが、梅毒は症状が一時的に治まり潜伏する期間があるので、そこで治ったと思ってしまい検査をせず放置し、治療が遅れてしまうのです。
「いまは治っているから大丈夫」と思っていても、じつは次のステージへの潜伏期間だったという場合も…。自分と愛するパートナーのためにも性病検査をすることをおすすめします。
まずなによりも、性行為の際はコンドームを正しく使用することです。そして他人の血液に触れないこと。具体的には、他人の傷口に直接触れないようにする。注射器、歯ブラシ、カミソリなどの共用はしない。といった点に気を付けましょう。
最近では妊娠初期の全ての妊婦に対して、梅毒血清反応の検査が行われるようになったため、梅毒の母子感染はほとんど見られなくなりました。妊婦検診によって感染がわかった際には、投薬による治療が必要になります。
妊娠前に未然に防ぐには、まず自分が感染しているのかを調べる必要があります。妊娠していなくとも、今後その予定のある方は早めの検査をおすすめします。