子宮頸がんのまとめ
- ①ほとんど自覚症状がない
- ②20代から30代で増えている
- ③性行為経験のある女性全員が対象
- ④早期発見には定期健診が大切
日本は、他の先進諸国と比べて、子宮頸がんの検診受診率が低い為、進行してから発見されることが多く、命を落としてしまうケースも多数ありますが、定期検診などで早期に発見することで、確実に予防ができるがんです。
かなり進行するまで、自覚症状がほとんどなく、命を落とすことがなくても子宮の摘出が必要になって、妊娠や出産ができなくなることもあります。しかし、早期に発見することで、比較的治療しやすいことが特徴です。
「子宮頸がん」は子宮の入り口の子宮頸部に発症します。かなり進行するまで、自覚症状がほとんどありません。
主に30~40代で発症する方が多い病気ですが、最近では20~30代にも急増中で、若年層まで注意が必要です。
「子宮体がん」は、子宮体部にできるがんで、閉経前後の女性がかかりやすく、早期から不正出血などの自覚症状があります。
また子宮頸がんは、がんができる組織の場所により「扁平上皮がん」と「腺がん」、またこの2つが混合した「腺扁平上皮がん」に大別されます。
子宮頸部は表面が扁平上皮細胞と呼ばれる細胞で覆われており、この扁平上皮細胞からできるがんを「扁平上皮がん」といいます。扁平上皮がんは子宮頸がん全体のおよそ8割を占めています。
腺(円柱上皮)がん 子宮頸部の粘液を分泌する細胞は腺細胞と呼ばれており、その腺細胞からできるがんを「腺がん」といいます。子宮頸がん全体のおよそ2割を占めていて近年になり、腺がんが増加しています。腺がんは扁平上皮がんに比べて検診で発見されにくい特徴があり、さらに扁平上皮がんに比べて治療が難しいとされています。
子宮頸がんは、性行為で感染する【高リスク型のヒトパピローマウイルス(HPV)】というウイルスの感染が原因です。また、喫煙も子宮頸がんの危険要因であることがわかっています。
子宮頸がん患者の90%以上から高リスク型HPVが検出されています。このウイルスはごくありふれたもので、性行為の経験がある女性であれば、ほとんどの女性が一度は感染するといわれています。多くの場合は、このウイルスに感染しても免疫力によって自然にウイルスが体内から排除されます。
しかし、感染したおよそ10%の女性がウイルスを体内から排除できず、感染が長期化(持続感染)してしまうことがあります。すると、子宮頸部の細胞に異常(異形成)を引き起こし、長い年月をかけて子宮頸がんへと進行する可能性があります。
高リスク型HPVに持続感染した場合、子宮頸部の細胞に異常な変化が起こる場合があります。この細胞の変化を「異形成」といいます。異形成はがんではありません。
異形成になっても、多くはHPVが自然に排除されると、それに伴い細胞は正常な状態へ戻ります。しかし、一部の人はHPVが排除されず、異形成の程度が、「軽度異形成」から、「中等度異形成」、そして「高度異形成」へと長い時間をかけて進行します。
異形成から高度異形成の状態で発見・治療すればがんにはなりません。
高度異形成を治療せずに放置した場合、子宮頸がんまで進行することがあります。
子宮頸がんはほとんどの場合において、初期には全く症状がないので自分で気づくことが難しい病気です。
症状に気づいてからでは、進行している可能性が高くなります。
■定期検査
子宮頸がんは、定期的に検査を受けていれば、がんになる前の段階(異形成)で発見することができます。異形成の段階で治療を行えば、子宮を摘出することなく完治できるので、その後の妊娠や出産にもほとんど影響はありません。
性行為の経験から3年以上経過している場合は、積極的に子宮頸がん検診を受けることが大切です。
細胞診とHPV検査を併用することで、子宮頸がんの見逃しをほぼゼロにすることができます。
「HPV検査」と「細胞診」を併用することで、子宮頸がんの見逃しをほぼゼロにすることができます。
現在の子宮頸がん検診は細胞診という検査法が主流です。これは、細胞の状態を顕微鏡を使って検査する方法で、がんの発見には有効な方法です。しかし、細胞診検査は検査の特性としてがん病変を発見できない可能性も否定できません。
一方、HPV検査は原因ウイルスの存在を調べる検査なので異形成の有無の予測にも優れておりまた、細胞診で発見できない病変の存在を考慮することができます。細胞診とHPV検査を併用することで、子宮頸がんの見逃しをほぼゼロにすることができ、子宮頸がんの早期発見に大きく役立ちます。