- ①性病は性行為によって感染する病気でさまざまな種類がある
- ②放置すると重い病気につながる可能性がある
- ③症状がでないケースも多いので定期的な検査が大切
性病は性行為によって感染する病気でさまざまな種類があります。放置しておくと、重い病気につながったりパートナーに感染させたりする可能性もあるため注意が必要です。
本記事では、性病の症状や原因を種類ごとに紹介します。症状や原因をしっかりと理解し、早期発見と早期治療につなげるために性病検査を受けるようにしましょう。
性病とは性行為によって感染する病気
性病とは、主に性行為によって感染する病気の総称です。性病は性感染症(STI=Sexually Transmitted Infections)とも呼ばれ、細菌・原虫・ウイルスといった原因菌が、性器・泌尿器・口腔・肛門などから体内に入り込むことで感染します。
代表的な性病としては淋病(りんびょう)や梅毒(ばいどく)などが挙げられますが、ほかにもさまざまな種類の病気が存在します。軽い症状のみの場合や症状が現れない場合もあり、気づかないうちに病気が進行していたり、パートナーに感染させてしまったりする可能性があるため、注意しなければなりません。
早期に発見して適切な治療を受ければすぐに治るケースも多いため、気になる場合は早めに検査を受けるようにしましょう。
性病の症状や原因を種類ごとに解説
性病には梅毒・淋病・性器クラミジア感染症といった種類があります。以下、それぞれの性病の症状や原因を紹介しますので、チェックしておきましょう。
1.梅毒
現在梅毒は拡大傾向にあり、男性では20代~50代、女性では20代が特に増えています。[注1]
梅毒の原因は梅毒トレポネーマという細菌に感染することです。梅毒トレポネーマは、性行為により皮膚や粘膜の小さな傷から体内に侵入します。感染すると、性器や肛門にしこりができたり全身に発疹が出たりするのが大きな特徴です。
時間が経過すると症状が消えることもあり、治ったと勘違いすることもありますが、内臓や皮膚で病気が進行している可能性もあるため注意しなければなりません。梅毒を放置していたり発見が遅れたりすると、何年も経ってから心臓や神経、血管などに異常が現れるケースもあるため注意しましょう。
主な感染経路としては、パートナーとの性行為が挙げられます。膣性交や肛門性交だけではなく、オーラルセックスやキスだけでも感染する可能性があるため注意が必要です。自分が治療してもパートナーから再感染するケースもあるため、気になる症状がある場合は、パートナーと一緒に性病検査を受けて治療を受けましょう。
治療は抗菌薬の内服や注射です。治療を開始すると発熱や倦怠感、悪寒、筋肉痛などの症状がみられることがあります。これは薬の副作用ではなく、梅毒トレポネーマという病原体が破壊されるために起こる症状です。一時的な症状ですので服用を中断することなく継続することが大切です。[注2]
2.淋病
淋病は淋菌感染症とも呼ばれ、男女で異なる症状が現れる性病です。男性の場合は、熱っぽさや尿道のかゆみなどの症状が現れ、黄色い膿や粘液が出るケースもあります。排尿するときに強い痛みを感じたり、陰嚢が腫れたりする場合もあるため注意しましょう。
女性の場合、男性よりも症状がわかりにくく、病気が進行してから気づくこともあります。症状が出る場合はおりものが増えたり、尿道から膿が出るケースが多いでしょう。下腹部の痛みや不正出血といった症状が出る場合もあります。妊婦が感染していた場合、出産時に赤ちゃんに感染し重大な症状(新生児結膜炎)が現れる可能性もあるため注意しなければなりません。
性行為により感染し、精液や腟分泌液の他にも口や肛門などから感染することがあるため注意が必要です。治療は抗菌薬の投与により行いますが耐性のある淋菌も存在します。また、中途半端な状態で治療を中断すると、耐性のある菌が発生してしまいます。その為、「性感染症 診断・治療ガイドライン2020」では耐性菌の割合が少ない抗菌薬の筋肉注射を1回投与する治療が推奨されています。
3.性器クラミジア感染症
性器クラミジア感染症は、日本において感染者数が最も多い性病です。症状が軽かったり、無症状であったりする場合も多いのですが、病気が進行すると母子感染や不妊症の原因になる可能性もあるため注意しなければなりません。
男性の代表的な症状としては、排尿時の軽い痛みや尿道がかゆくなることなどが挙げられます。放置していると、精巣上体炎や男性不妊症といった病気につながるケースもあるため、症状が軽くても油断せずに治療を受けましょう。
女性の場合、感染していても重い症状が出ることはほとんどありません。症状が出ても、軽い生理痛のような痛みを感じたり、おりものが少し増えたりする程度であるため、感染に気づかないことも多いと言われています。ただし、病気が進行すると卵管炎や腹膜炎などを引き起こし、不妊症になる可能性もあるため注意が必要です。
感染経路は淋病と同様で精液や腟分泌液の他にも口や肛門などから感染することがあります。性器クラミジア感染症の治療には、抗菌薬が用いられます。ただし飲み忘れや治癒の自己判断による服薬中断などで治療が中途半端になってしまうと体内に菌が残ってしまうこともあるため、医師の指導を受けながらしっかりと治療しましょう。
4.HIV・エイズ
HIV感染とエイズはよく混同されますが異なるものです。HIV感染とは、体内にHIVというウイルスが入り込んでいる状態を指します。自覚症状はほとんど出ないため、感染に気づかないケースがほとんどです。
症状がなくてもウイルスは体内で活動しており、パートナーなどに感染させる可能性もあるため注意しましょう。ただしHIVの感染力はとても弱く、せきやくしゃみ、唾液や尿からは感染しません。性行為による感染が最も多いため、コンドームを使用することや、見知らぬ相手との性行為を避けることなどが大切です。
エイズとはHIVに感染することによって免疫力が低下し、さまざまな合併症が現れた状態を指します。HIVは身体の免疫力を低下させるため、弱い細菌やカビなどの病原体によって、通常はかからないような病気になってしまうケースがあります。HIVに感染したまま治療を受けずにいると、数年〜十数年でエイズを発症するケースが多いでしょう。
HIVに感染した場合は、服薬治療によりエイズの発症を抑えることが重要です。エイズやHIV感染の治療方法は急速に進歩しており、服薬を続けることで、ウイルス量を検知できないくらい少量まで抑えることができます。他人への感染を防止することも可能なため、早期発見と早期治療を心がけましょう。
5.性器カンジダ症
性器カンジダ症は、カンジダというカビの一種によって引き起こされる性病です。性行為によって感染するケースもありますが、女性の場合は腸管から肛門を経由して腟に侵入する自己感染のケースもあります。また、カンジダは健康な人の体内に存在していることもあるため、カンジダが発見されたからといって性病を発症しているとは言い切れません。
性器カンジダ症は、身体の抵抗力が低下したときなどに発症します。女性に多い性病ですが、男性でも発症することがあるため注意しましょう。男性の場合は、性器の先端が赤くなったり、かゆみが出たりするケースが一般的です。
女性の場合は陰部に強いかゆみを感じたり、おりものが白いかたまりになったりします。性器の炎症、性行為の際の痛みといった症状が出るケースもあるでしょう。
治療が必要と判断された場合は、抗真菌剤入りのクリームなどを使用します。人によって異なりますが、抵抗力が低下したときに再発することもあるため、医師の指示に従ってしっかりと治療することが大切です。
6.性器ヘルペスウイルス感染症
性器ヘルペスウイルス感染症は、性器にただれや湿疹、小さい水ぶくれができる病気です。症状が出ないこともありますが、歩行時や排尿時に強い痛みを感じるケースもあります。
一度感染してしまうと、ウイルスが体内に残り続けることも大きな特徴です。残ったウイルスにより、身体の抵抗力が下がったときや疲れているときなどに再発するケースもよくあります。女性の場合は、妊娠中に再発しやすいため注意しましょう。
感染経路としては性器や口、肛門などが挙げられます。無症状の場合でも、身体からの分泌液や性器の粘膜から感染する可能性もあるため注意が必要です。治療の際は、抗ウイルス薬が使用されます。知らない間に感染している可能性もあるため、パートナーと一緒に検査や治療を受けるとよいでしょう。
7.トリコモナス症
トリコモナス症は、トリコモナス原虫という病原体によって引き起こされる性病です。性行為によって感染し、一般的には女性に強い症状が現れます。悪臭のする白色から黄色の泡状のおりものが大量に出たり、陰部がかゆくなったりするため、気になる場合は早めに治療を受けましょう。放置していると症状が悪化し、不妊症や早産につながるケースもあります。
男性の場合は無症状なことも多いですが、頻尿や排尿時の痛みといった症状が出ることもあります。悪化すると尿道炎などを発症する可能性もあるため、注意が必要です。
主な感染係路は性行為ですが、性行為の経験がない女性が発症することもあります。そのため、トイレの便座や公衆浴場、タオルの共用などでも感染することが知られています。
治療には、抗トリコモナス剤の腟錠や内服薬などが用いられます。とくに妊娠3か月以内の妊婦は注意が必要なため、医師の指示に従いながら治療を受けましょう。また、服用中および服用終了後3日間に飲酒をすると通常時よりも顔が赤くなったり、頭痛がしたりと酔いの程度が強くなりますので飲酒を控えるようにしてください。免疫はできないため、治った後に再び感染する可能性もあります。
[注2]※出典:東京都福祉保健局.「東京都性感染症ナビ(梅毒)」https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/seikansensho/knowledge/syphilis/index.html(入手日付2023-02-09)
性病は早期発見・早期治療が大切!
本記事は、性病の症状や原因を種類ごとに紹介しました。性病には梅毒・淋病・性器クラミジア感染症などさまざまな種類があり、原因となる細菌・ウイルスによって現れる症状は異なります。無症状であったり軽い症状のみが出たりするケースもあり、油断はできません。
放置しておくと重い病気につながったり、知らないうちにパートナーに感染させたりする可能性もあるため注意が必要です。症状がでないケースも多い為、定期的に検査を行い早期発見に努め、感染していた場合には速やかに治療するようにしましょう。早期に発見して治療を開始すれば重症化せずに治癒できます。
病院に行くのが恥ずかしいという人には、郵送検査を利用するのがおすすめです。郵送検査を使えば自宅で検査キットを使用して、検体返送するだけで検査を行えるため、他人に知られることはありません。GME医学検査研究所では、さまざまな種類の性病に対応した検査を提供しています。精度の高い検査により性病の早期発見が可能ですので、感染が気になる人はぜひご相談ください。
症状がでないケースも多い為、定期的に検査を行い早期発見に努め、感染していた場合には速やかに治療するようにしましょう。