GME医学検査研究所

心疾患・脳血管疾患の
原因と対策を解説

日本人の三大疾病である心疾患や脳血管疾患を知っていますか?

心筋梗塞や不整脈などの心疾患、脳卒中を代表とする脳血管疾患は、がんと並んで日本人の三大疾病に挙げられている病気です。 心疾患や脳血管疾患を患っている人は非常に多いですが、どのような原因でこれらの病気が引き起こるのでしょうか。
本記事では、心疾患や脳血管疾患の原因や、予防方法、すぐにできる検査方法などを解説します。
誰にでも起こりうるリスクがある病気です。正しく理解して、今すぐできる対策をしていきましょう。

心疾患・脳血管疾患は日本人の3大疾病のうちの2つ

日本人の三大疾病は、がん・心疾患・脳血管疾患の3つです。
厚生労働省が試算した死因別死亡確率によると、それぞれの年代で心疾患・脳血管疾患で亡くなってしまう確率は以下のようになっています。

■男性

年齢 / 死因 心疾患 脳血管疾患 悪性新生物(がん) 肺炎 その他
65歳 14.82% 10.08% 29.17% 13.62% 32.31%
75歳 15.23% 10.42% 25.88% 15.27% 33.20%
90歳 17.21% 10.18% 15.11% 19.80% 37.30%



■女性

年齢 / 死因 心疾患 脳血管疾患 悪性新生物(がん) 肺炎 その他
65歳 19.69% 11.79% 18.64% 11.81% 38.07%
75歳 20.31% 12.05% 16.46% 12.44% 38.74%
90歳 21.30% 11.97% 9.86% 14.38% 42.49%



このように、男性の死因別死亡確率は心疾患・脳血管疾患よりもがんの方が死亡確率は高いですが、女性の65歳・75歳では、心疾患ががんを上回っています。
またこの調査では、心疾患・脳血管疾患・がんを取り除いた場合、男性は65歳で6.30年、75歳で4.83年、90歳で2.18年、女性は65歳で5.55年、75歳で4.70年、90歳で2.67年寿命が伸びると予測されました。[注1]

これらの病は、発症したからといって必ずしも死に至るわけではありませんが、一命を取り留めても寝たきりや介護が必要になることも多く、それまでの健康的な生活が失われてしまう可能性が高いです。

なお、2019年に行われた国民生活基礎調査の概要によると、介護が必要になった主な原因の第2位は脳血管疾患で、認知症に次いで多くなっています。[注2]
介護を要さないケースでも、心疾患や脳血管疾患を発症した結果、後遺症に苦しめられる人も少なくありません。

[注1]厚生労働省「4 死因分析」(2022年) https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life10/04.html#
[注2]厚生労働省「IV 介護の状況」 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa19/dl/05.pdf

代表的な心疾患とその原因

心疾患や脳血管疾患は、特定の病気を指す言葉ではありません。
どのような病気が心疾患・脳血管疾患に該当するのか見ていきましょう。

【代表的な心疾患の症状】

心臓で起こるさまざまな病気の総称である心疾患。
心疾患には不整脈や心筋症、弁膜症、先天性心疾患などがありますが、心疾患の大部分を占めているのは心筋梗塞と狭心症の虚血性心疾患です。この2つの症状を知っておきましょう。

心筋梗塞

心筋梗塞は、心臓を取り囲んでいる冠動脈にコレステロールなどが固まって血栓ができ、心臓に血液を送ることができなくなる病気です。
血液は酸素も一緒に心臓へと運びますが、血栓ができると冠動脈が塞がるため、心臓が酸素不足になってしまいます。
その結果、心臓が壊死して心臓が正常に機能しなくなってしまいます。

狭心症

もう一つの虚血性心疾患は狭心症です。狭心症は、冠動脈が何らかの原因で詰まって血管が狭くなってしまい、十分な酸素や栄養が心臓に届かなくなる病気です。
ただ狭心症は一時的なもので、発作が起こりますが、ほとんどの場合すぐに回復します。発作の時間は長くても15分程度です。




【心疾患の原因】

では、なぜ心疾患を引き起こしてしまうのでしょうか。

心疾患を引き起こしてしまう危険因子は、高血圧、脂質異常、喫煙習慣、高血糖があります。
内臓脂肪型肥満と高血圧・脂質異常・高血糖のいずれか2つを併発しているケースが、メタボリックシンドロームと呼ばれる状態です。
メタボリックシンドロームに該当していると、それぞれの症状が軽かったとしても動脈硬化が悪化しやすくなり、心疾患を引き起こす原因となってしまいます。

また脈のリズムが正常より速くなったり遅くなったりする不整脈も、心疾患の原因の一つです。

代表的な脳血管疾患とその原因

【代表的な脳血管疾患】

脳血管疾患は脳で起こる病気の総称で、大きく分けて虚血性脳血管疾患と出血性脳血管疾患があります。
虚血性脳血管疾患は脳梗塞と一過性脳虚血発作が代表的で、出血性脳血管疾患は脳出血・くも膜下出血が代表的です。

脳梗塞

脳梗塞はさらに脳血栓と脳塞栓の二つに分けられます。
脳血栓は、ドロドロになった血が固まって血栓ができて、血管が詰まってしまう病気です。
脳塞栓は脳以外の場所でできた血栓が血管を通って脳へ運ばれ、血管を詰まらせてしまうことを言います。心臓でできた血栓が、脳梗塞を引き起こすことも珍しくありません。

一過性脳虚血発作

一過性脳虚血発作は、脳の血管が一時的に詰まってしまう病気です。
神経症状が出るのは一時的で、通常は24時間以内に症状がなくなります。[注3]
ただ、一過性脳虚血発作を発症すると、後日、脳梗塞を発症する可能性が高いです。

脳出血

脳出血とは、脳の細い血管が破れてしまい、文字どおり出血することで起きる病気です。
前兆はほぼなく、ある日突然発症してしまいます。

くも膜下出血

くも膜下出血も脳の血管から出血することで起きる疾患です。
この場合、くも膜下という脳を守っている膜の下の血管が切れて出血します。突然激しい頭痛を引き起こしますが、脳出血同様前兆がないことがほとんどです。




【脳血管疾患の原因】

脳血管疾患にも、高血圧、動脈硬化、喫煙習慣の危険因子があります。
動脈硬化はコレステロールや高血圧、肥満、喫煙習慣などが原因で起こります。特にコレステロールが原因で起こる動脈硬化は、血管が詰まりやすくなります。

また脳血管疾患の場合も、メタボリックシンドロームが脳血管疾患を引き起こすリスクを高くしている原因です。
それに加えて、過剰な飲酒や過剰なストレス、運動不足、睡眠不足などの乱れた生活習慣も、脳血管疾患を引き起こす可能性があります。

心臓でできた血管が脳に運ばれて血管を詰まらせる脳塞栓の主な原因は、心臓が小刻みに震えることで血液を正常に送り出せなくなる心室細動という不整脈の一種です。
心原性脳塞栓症では、心房細動という不整脈によってできた血の塊(血栓)が脳に運ばれて脳の血管を塞ぐことで起こります。

[注3]国立循環器病研究センター「一過性脳虚血発作は、早期に完成型脳梗塞を発症する可能性が高い」 https://www.ncvc.go.jp/hospital/section/scd/cerebrovascular/tia-torikumi/

心疾患・脳血管疾患の予防方法

心臓で起こる病気である心疾患、脳で起こる病気の脳血管疾患ですが、原因には共通する点が多いです。
また、心臓で血栓ができてしまった結果、脳に血栓が流れて脳塞栓を起こすこともあるため、心疾患と脳血管疾患の両方に備えておく必要があると言えます。

どのような対策をすれば、心疾患や脳血管疾患を防げるのかを知って、早いうちから実践しておきましょう。

1. 食生活を見直す

食生活は心疾患の発症にも脳血管疾患の発症にも大きな影響を及ぼします。肉中心の食事を控えて、青魚を積極的に食べましょう。肉ばかりの食生活だと、脂質異常症を引き起こすことがあります。

タンパク質・脂質・炭水化物の必須栄養素を適量でバランスよく摂ることが重要です。
また、緑黄色野菜に含まれるβ-カロテンやビタミンCや果物に含まれるポリフェノールには、コレステロールが酸化するのを防ぐ効果があります。

塩分の過剰摂取は高血圧の原因になりますので、減塩を意識した食事にしましょう。
また血液をサラサラにするために、こまめな水分補給を心がけてください。

2. 喫煙習慣・飲酒習慣を見直す

喫煙習慣は心疾患や脳血管疾患のリスクを高める重大な危険因子です。喫煙習慣があるのであれば、禁煙することをお勧めします。
喫煙は血液中の悪玉コレステロールを増やし、善玉コレステロールを減らすので、動脈硬化を引き起こしてしまう可能性が高く、その結果さまざまな心疾患・もう血管疾患につながってしまいます。

飲酒自体は悪いことではありませんが、1日あたり純アルコール量で20〜25g程度(例.アルコール度数5%の缶ビール(500ml)1本)が適量と言われています。[注4]
飲み過ぎは心疾患や脳血管疾患の原因となりますので、適量を意識し、休肝日も作りましょう。

3. 適度な運動をする

運動不足はメタボリックシンドロームの原因となる内臓脂肪型肥満になりやすいです。激しい運動をする必要はありませんが、適度な運動を習慣にしましょう。

現代人は消費カロリーより摂取カロリーが多いため、内臓脂肪型肥満になりやすいです。

4. ストレス発散方法を見つける

ストレスを溜めすぎると、生活習慣が乱れやすくなってしまい、生活習慣病を引き起こして、心疾患や脳血管疾患を発症する可能性があります。
また、それ以外にも胃潰瘍や十二指腸潰瘍、うつ病など、他の病気へのリスクも高まってしまいます。

自分なりにストレスを発散する方法を見つけましょう。また、質のいい睡眠やバランスを考えた食事、適度な運動はストレス耐性を高める効果があります。

[注4]全国健康保険協会「【飲酒】お酒と上手に付き合おう」 https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g4/cat450/sb4501/p007/

心疾患・脳血管疾患はNT-proBNP検査で判断できる

生活習慣などで心臓に負担がかかると、NT-proBNPという物質が分泌されます。
このNT-proBNP量を調べることで、心疾患や脳血管疾患の発症リスクを調べることが可能です。NT-proBNP値が高い人は低い人と比べると、心臓病・脳梗塞・脳出血を発症するリスクが3〜6倍も高いと言われています。

心疾患や脳血管疾患は初期症状がないものや前兆がないものもあるため、今の状態を把握しておくことは大切です。
NT-proBNP検査で今の自分の体の状態を知り、必要であれば治療を行いましょう。

心疾患・脳血管疾患は検査による早期発見が重要

日本人の三大疾病の2つである心疾患や脳血管疾患。
深刻な状態に陥らないためには、早めに異常を見つけて状態に合わせた治療を受けることが大切です。
心疾患や脳血管疾患は兆候に気付きにくいため、定期的に検査を行ってリスクを把握しておきましょう。

「GME医学検査研究所」では、郵送検査キットでNT-proBNP検査や新型コロナウイルス、性病検査、胃がん、大腸がんなどの検査を行っております。
365日いつでも検査ができ、結果が出るのも早いので、気軽に生活習慣の見直しを行えるのがメリットです。

生活習慣が乱れている方や、心疾患・脳血管疾患を発症した親族がいる方などは、ぜひ一度検査を受けてみてください。

心疾患・脳血管疾患の原因と対策まとめ
心筋梗塞や不整脈などの心疾患、脳卒中を代表とする脳血管疾患は、がんと並んで日本人の三大疾病に挙げられている病気です。
生活習慣の見直しとともに、定期的な検査も行って予防をするようにしましょう。