- ①気管支や肺胞などの細胞ががん化したもの
- ②主な原因は喫煙によるもの
- ③無症状の事も多い
- ④定期的な検査が大切
日本の肺がんでの死亡数は女性で第2位、男性の場合は第1位です。
定期的な検査をして早期発見できるように心がける事が大切です。GMEの郵送検査なら自宅にいながら肺がんのスクリーニング検査を行うことも可能です。今回のコラムでは肺がんについて解説しています。
肺がんってどんな病気?
肺は、酸素を体に取り入れ、二酸化炭素を外へ排出する働きをしています。
肺は左右2つの大きな臓器で、左は2つ(上葉、下葉)右は3つ(上葉、中葉、下葉)に分かれています。
気管支は左右の肺に入り、さらに細かく枝分かれして肺の隅々まで広がります(細気管支)。細気管支の先には肺胞と呼ばれる小さな袋がたくさんついており、この中の血管で血液から酸素と二酸化炭素を交換する作業が行われています。
肺に気管支が通る部分を肺門、それ以外を肺野、肺に挟まれた臓器(心臓、食道など)がある場所を縦隔と呼びます。
主な肺がんの組織型とその特徴
肺がんは、気管支や肺胞などの細胞ががん化したものです。
主に、腺がん、扁平上皮がん、小細胞がん、大細胞がんの4つの種類に分類されます。
中でも腺がんは全体の半数以上を占めます。
組織分類 | 多く発生する場所 | 特徴 | |
非小細胞肺がん | 腺がん | 肺野 | ・肺がんの中で最も多い ・女性の肺がんの約7割を占める |
扁平上皮がん | 肺門(肺野部の発生頻度も高くなってきている) | ・咳や血痰などの症状があらわれやすい ・喫煙との関連が大きい |
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大細胞がん | 肺野 | ・増殖が比較的早い ・発症頻度は比較的稀 |
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小細胞肺がん | 小細胞がん | 肺門・肺野ともに発生する | ・増殖が早い ・転移しやすい ・喫煙との関連が大きい |
肺がんの罹患率
肺がんの罹患率は、全がん種のなかで男女とも第四位(2019年)となっています。
人口あたりの罹患率は100.3例(男性137.3例、女性65.2例)[注1]で、男性が女性より2倍も多くなっています。
年齢でみると男女とも50歳代から罹患率が上昇しています。
肺がんの死亡率
部位別がん死亡数は、男性が第一位、女性が第二位で、全がん種のなかでも死亡数が多いがんです。
人口あたりの死亡率は61.3人(男性88.7例、女性35.2例 :人口10万対[注2])で、男性の死亡数が女性の2.5倍多いです。
また、肺がんは国内分布でも有意な差がみられます。
男性では北海道、青森、近畿圏で罹患率・死亡率が共に高いです。女性では、男性ほどの偏りはないですが、北海道と近畿以西で罹患率・死亡率が共に高いです。
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/cancer/12_lung.html#anchor1
なにが原因で肺がんになる?
肺がんの主要な原因のひとつが『喫煙』です。とくに扁平上皮がん、小細胞がんで喫煙との関連が大きいです。
喫煙を始めた年齢が低く、喫煙量が多いほど肺がんにかかる危険性が高くなります。
一日に吸うたばこの本数と喫煙年数をかけたブリンクマン指数(喫煙指数)というものがあり、この数値が400を超えると肺がんにかかるリスクが上昇、600を超えると高リスクになります。
毎日1箱を20年吸っている人は、20本×20年=400となり、肺がんにかかるリスクが高いと分かります。
肺がんになる危険性は、喫煙しない人と比べると、喫煙男性で4.4倍、喫煙女性で2.8倍と、有意に高いです。
自ら喫煙しない人でも、周囲に喫煙する人がいる場合、その煙を吸い続けること(受動喫煙)も肺がんのリスクを2~3倍高めます。
受動喫煙は、たばこのフィルターを通さない煙(副流煙)を吸うことになるので、体内に直接危険物質を取り込むことになり、喫煙者と同様のリスクがあります。
その他の原因として、アスベストなどの有害物質を吸い続けたり、肺の病気(結核、間質性肺炎、慢性閉塞性肺疾患)などがあります。
腺がんでは、遺伝や大気汚染、女性では女性ホルモンなどもリスク因子として関連があると考えられています。
肺がんの症状
肺がんの初期症状として、しつこい咳、血痰、胸痛、呼吸時の喘鳴(ぜーぜー音)、息切れ、嗄声(声のかれ)、発熱などがありますが、無症状であることも多いです。ほかの臓器に転移して初めて気づくこともあります。
気になる症状が2週間治らない時、血痰や発熱が5日以上続く時は医療機関を受診しましょう。
肺がんの症状の注意点
①「この症状があれば必ず肺がん」という症状はない
② 症状が続くあるいは増悪する場合は、早めに医療機関を受診する
③ 肺がんは症状がなく偶発的に発見されることもある
④「症状がなければ肺がんではない」というわけではない
肺がんが進行すると
がんが進行すると、動いている時に息苦しさを感じたり、動悸がしたりするようになります。また、がんが大きくなって胸に水が溜まったり、肋骨や神経にまで広がり胸の痛みを感じる場合もあります。
さらにがんが進行すると、上大静脈症候群、癌性心膜炎、気道狭窄、高カルシウム血症などの症状が起こることがあります。
肺がんや、縦隔に転移したがんが上大静脈を圧迫して、息苦しさや両腕、顔の浮腫みなどを引き起こします。
心臓を包み込む袋(心嚢)に、がん細胞が入りこみ、水がたまることで、息苦しさ、血圧低下、倦怠感などが引き起こされます。
がんが大きくなり気道を圧迫し、咳や息苦しさが引き起こされます。放置すると窒息する可能性があります。
がんが放出するホルモンの影響で、食欲不振、嘔気・嘔吐などの消化器症状や、多尿、のどの乾きなどが引き起こされます。
もしも肺がんを発症してしまったら
肺がんの治療は外科的治療(手術)、放射線療法、薬物療法の3種類から選択されます。どの治療法を選択するかは、組織型や病期(ステージ)、患者さんの身体的状況や合併症、年齢などをふまえて検討されます。
外科的治療
手術療法の一般的な術式は肺葉切除術で、がんが含まれている肺葉をまるごと切除します。
その他の術式としては、片方の肺すべてを取り除く肺全摘出、区域ごとに切除する「区域切除」、区域の一部を部分的に切除する「楔状切除(部分切除)」があります。がんの場所や患者さんの状態などから術式を決めます。
手術には開胸手術と、腹腔鏡下手術があります。
・上大静脈症候群
開胸手術は背中から脇にかけて切開し、肋骨の間を開いて行う手術です。がんのできている部位を直接目で見て確認し、がんの範囲や周囲の状態、リンパ節への転移の有無を確認し、切除を行います。
・癌性心膜炎
腹腔鏡下手術は胸部に数か所小さな穴を開け、カメラと手術器具を挿入し、モニターに映る映像を見ながら行う手術です。さらに、モニター観察だけで行う「完全胸腔鏡下手術」と、モニター観察と切開部からの目視による観察を併用して行う「胸腔鏡補助下手術」の2種類あります。
病理検査の結果、がんが2cmより大きい場合や、ステージがⅡB・Ⅲ(胸腔内に転移がある)の場合、術後に薬物療法を行うことが推奨されています。飲み薬の抗がん剤、点滴の抗がん剤、免疫チェックポイント阻害剤などがステージによって使い分けられます。
放射線療法
がん細胞のある場所をピンポイントで狙って放射線を照射し、がん細胞のDNAを傷つけ死滅させる方法です。外科的手術に比べ体への負担が少なく、手術が行えない患者や高齢者でも実施することが可能です。
痛みや、がんが大きくなることで起きる症状をやわらげたり、再発を予防するためにも行われます。
薬物療法
抗がん剤などでがんそのものを小さくしたり、転移・再発の防止、手術や放射線療法の適応にならない場合などに行われます。
そのほかに、手術による治療効果の向上や再発防止のために手術の前後に薬物療法を行う場合もあります。
肺がんを予防するには?
喫煙しないこと、副流煙を吸わないことが一番の肺がん予防になります。
すでに喫煙している人は、禁煙することが有効です。禁煙を始めて10年後には、禁煙しなかった場合と比べて肺がんのリスクが半減することが分かっています。
がん全般の予防には禁煙、節度のある飲酒、バランスの良い食事、適度な運動、適正な体形の維持などが効果的です。
肺がんは初期症状がないことも多く、健康診断でわかることも多いです。
国の指針では、40歳以上の人は年に一度、肺がん検診(問診、胸部X線検査)を受けることが推奨されています。
中でも、ハイリスク群の人(原則50歳以上、ブリンクマン指数600以上)は問診、胸部X線検査のほかに喀痰検査も行われ、必要に応じてほかの検査も追加されます。
40歳未満の人や、年一度では不安な人、いますぐ検査を受けたい人には、郵送検査での肺がん検査もお勧めです。
GMEでは喀痰細胞診を実施しています。喀痰細胞診は、主に肺がんの中でも「肺門部にできたがん」の早期発見を目的としています。
喫煙者や、家族に喫煙者がいる場合は特に有効な検査です。
一方、「肺野部にできたがん」の発見には、胸部X線検査やCT検査などが有効です。こちらの検査をご希望の場合には、医療機関にて実施するようにしてください。GMEでは検査結果を持参するとスムーズに治療が受けられるように、複数の医療機関と提携しています。肺がんの予防、早期発見のきっかけに、郵送検査を用いることも良いのではないでしょうか。
GMEの郵送検査なら自宅で肺がん検査ができるため定期検査におすすめです
がんのできる部位によっては医療機関での検査も必要です