子宮頸がんのまとめ
- ①20~30代の女性に増えている
- ②高リスク型HPVが原因
- ③初期段階では自覚症状に乏しい
- ④ワクチンによりある程度予防することが可能
- ⑤定期的に検査をして早期発見に努めよう
いま、20~30代で子宮頸がんにかかる女性が増えてきています。ですが、子宮頸がんは早期発見することで確実に治癒できるがんです。
20歳を過ぎたら定期的に検診を受けるようにしましょう。
子宮にできるがんには2種類あります。1つは子宮の入り口の子宮頸部にできる「子宮頸がん」で、もう1つは子宮の入り口から奥に入った子宮体部にできる「子宮体がん」の2種類があります。
子宮頸がんは、初期のころには自覚症状が出にくく気づきにくいがんです。かなり進行するまで自覚症状が出ないことが多く、気づいた時には子宮を全て摘出しなければならない状態であったり、最悪の場合には命に関わってきたりします。
発症初期には気づきにくい子宮頸がんですが、年齢別にみると20歳を過ぎると発症率が急上昇していきます。特に20~30代での罹患率は1990年と比較すると2015年の時点で約1.9倍にも上昇しております。
ちなみに子宮体がんは、初期症状として月経時外の不正出血が特徴的で、女性ホルモンが深く関わっており50代に多いがんです。早期に発見しやすいがんではありますので、早い段階で治療ができれば予後の経過は良いです。
子宮頸がんの原因は、主に性行為によって感染する高リスク型HPV(ヒトパピローマウイルス)というウイルスが原因です。
性行為の経験がある女性の約8割が、生涯のうち1度は感染すると言われております。
しかし、高リスク型HPVに感染したからと言って必ずしも子宮頸がんを発症するわけではなく、感染した人のうち約9割の人は自己免疫により自然と体内から排除されていきます。
残りの1割の人は高リスク型HPVに長期間感染し続けることで、子宮頸部の細胞が徐々に変化していき最終的にがん細胞へと変わっていきます。
子宮頸がんの初期段階ではほとんどの人に自覚症状はありません。自覚症状が出ないので気づかないうちに病気が進行していってしまいます。
病気が進行していくと、不正出血や性行為時の痛み、性行為後の出血、おりものの異常、下腹部や腰の痛みなどの症状が現れます。
初期段階では自覚症状に乏しい子宮頸がんですが、ある日突然、がん細胞が現れるわけではなく、徐々に細胞が変化していき最終的にがん細胞へと変化していきます。その為、がん細胞になる手前(異形成)の段階で発見できれば、その部分だけを切除する手術で治療ができます。進行した場合は、子宮を全て摘出しなければならなかったり、他の臓器に転移していたりするので、できるだけ早い段階で発見できるのが望ましいです。
20歳を過ぎたら2年に1回の定期検診により子宮頸部の細胞の状態を調べる検査(細胞診)を受けることが推奨されています。
病院や自治体で行う検診の他に、自宅で自己採取した検体を検査会社に郵送して検査をしてもらう郵送検査でも子宮頸がん検査を実施することが可能です。
また、子宮頸がんの原因となる高リスク型HPVが子宮頸部に存在しているかを確認することも非常に重要です。細胞診の検査で子宮頸部の状態に異常がなくても、高リスク型HPVに感染していると、将来子宮頸がんを発症するリスクがあるということです。
いま、自分にそのリスクがあるかないかを知ることができれば検診の間隔を短くするなどの対策が立てやすくなります。
自覚症状に乏しい子宮頸がんですが、実は予防できることをご存じですか?
全ての子宮頸がんを予防できるわけではありませんが、子宮頸がんを引き起こす高リスク型HPVの中でも特にリスクが高いHPVに対するワクチンが存在します。全てのHPVを防ぐものではありませんので、細胞診による定期検診は忘れずに受けるようにしましょう。
現在日本では、定期接種として小学校6年生から高校1年生までの女性は無料でHPVワクチン接種が受けられます。
また、積極的勧奨が控えられていた時期に対象だった(平成9年度生まれから平成17年度生まれ)女性についてもキャッチアップ接種として無料でHPVワクチン接種が受けられます。
ワクチン接種や定期的に検診を行い早期発見できるようにご自身の体を気遣ってあげてください。