- ①自分やパートナーに症状が出た時
- ②不特定多数と性行為した時
- ③性病を放置すると無精子症や不妊の原因になる
- ④保健所・医療機関・郵送検査で検査可能
性病は感染症のため、感染が疑われる場合は検査を受けることが大切です。感染が疑われているのに放置すると、症状が悪化する恐れがあります。しかしどのようなタイミングで検査を受ければいいのか、受診の基準が分からない人もいるでしょう。
この記事では性病検査を受けた方がいい人や受けるタイミング、検査の方法などを解説します。
性病検査を受けた方がいい人やタイミング
性病検査を受けた方がいいかどうかは、次のようなポイント、タイミングで判断しましょう。
①自分に症状が出た
②パートナーに症状が出た
③不特定多数の人と性行為をした
①自分に症状が出た
自分に性病の症状が出ている場合は、すぐに性病検査を受けましょう。主な症状と疑われる性病は以下の通りです[注1]。
症状 | 性別 | 疑われる性病 |
排尿時の痛みや違和感 | 男女共通 |
・クラミジア ・淋菌 ・トリコモナス ・マイコプラズマ ・ヘルペス |
性器から膿が出る | 男性 |
・クラミジア ・淋菌 ・トリコモナス ・マイコプラズマ |
性器周辺や口にただれや水ぶくれがある | 男女共通 |
・梅毒 ・ヘルペス |
鼠径部(股の付け根)が腫れている | 男女共通 |
・梅毒 ・ヘルペス |
体に発疹ができる、斑点やアザができる | 男女共通 | ・梅毒 |
性器や肛門周辺にイボができる | 男女共通 |
・尖圭コンジローマ ・梅毒 |
おりものの異常(量が多い、色、におい) | 女性 |
・クラミジア ・淋菌 ・マイコプラズマ ・カンジダ ・トリコモナス |
下腹部の痛みや性交時の痛み | 女性 |
・クラミジア ・淋菌 ・マイコプラズマ ・トリコモナス ・一般細菌 |
発熱と下腹部の痛み | 女性 |
・クラミジア ・淋菌 |
性病は男女共通の症状もあれば、女性特有の症状もあります。排尿時をはじめ、普段と様子が違うようであれば、すぐに性病検査を受けた方がいいでしょう。
[注1]参考)あおぞらクリニック 性病の症状https://www.aozoracl.com/symptoms
性病は風邪のような症状も現れる
性病は性器周辺や皮膚の症状だけではありません。男女ともに、急に熱が出る、風邪を引いていないのにのどが痛む、のどが腫れるなどの症状が現れる可能性もあります。
特に発熱が続いている、薬を飲んでも治らないという場合はHIVへの感染も考えられます。発熱やのどの痛みであっても、性病が思い当たるのであれば、検査を受けましょう。
②パートナーに症状が出た
性病は自分に症状が出た際だけでなく、パートナーに症状が出た際も検査をすることが大切です。性病は主に性行為によって人から人に感染していく感染症です。パートナーに性病の症状が出ているのであれば、自分も感染しているかもしれません。
中にはパートナーのみに症状が出ていて、自分には症状が出ていないケースもあるでしょう。しかし性病には潜伏期間があるため、自分に症状が出ていなくても、時間が経過すると症状が現れる可能性があります。
③不特定多数の人と性行為をした
不特定多数の人と性行為をすると、性病に感染するリスクも高まります。またパートナーが頻繁に変わっている場合も性病感染リスクが高まる可能性があります。
不特定多数の人と性行為をしていたり、パートナーが頻繁に変わっていたりする場合は、症状が出たら病院を受診するのではなく、症状がでていなくても定期的に複数の性病検査を行うことが望ましいでしょう。
性病検査を受ける適切な頻度
性病は感染したからといって自覚症状があるとは限りません。例えばクラミジア感染症は、女性の場合で感染者の約半数は自覚症状がないといわれています。
このように性病に感染していても自覚症状がないケースがあるため、年に一度の頻度で定期的に性病検査を受けることが好ましいでしょう。なお不特定多数の人と性行為をしている場合は、性病の感染リスクが高いため、月に一度を目安に性病検査を受けることが大切です。
早いタイミングで感染の有無を知ることは、早期治療につながるだけでなく、他の人への感染を予防するためにも重要です。
性病を放置するリスク
性病が疑われるにもかかわらず性病検査を受けずに放置すると、パートナーに感染させてしまう以外にも、次のようなリスクにつながります。
・母子感染する
・症状が悪化する
・無精子症や不妊の原因になる
母子感染する
性病の中でも梅毒やクラミジア、HIVなどは母子感染する可能性があります。母子感染してしまうと、流産や早産、赤ちゃんの神経や骨の異常などの原因になりかねません。お腹の赤ちゃんへの感染を防ぐためにも性病検査を受け、適切な治療を施しましょう。
症状が悪化する
性病を放置していると症状の悪化につながってしまいます。例えば自覚症状がない人もいるクラミジアは、放置していると次のような症状につながる恐れがあります。
男性:前立腺や精巣上体の炎症
女性:卵管や卵巣、骨盤腹膜の炎症
症状が治まっても、治療をしていない場合、病原体は体の中に残ったままです。再発やパートナーへの再感染の恐れがあるため、放置せず性病検査を受けて適切な治療を進めることが大切です。
無精子症や不妊の原因になる
性病は無精子症や不妊の原因の一つです。例えば女性の場合、クラミジアや淋菌を放置していると卵管に炎症が起き、子宮外妊娠や卵管性不妊の原因になります。男性の場合も、クラミジアを放置することで無精子症の原因になる可能性があります。
性病検査の方法
性病検査の方法は一つではありません。感染が疑われる性病によって異なります。クラミジアや淋菌の場合、男性は検尿、女性はおりものの採取が必要です。一方、HIVや梅毒、B型肝炎、C型肝炎は男女ともに、検査に当たっては採血が必要です。
性器ヘルペスや尖圭コンジローマなどの目に見える変化が性器に現れる性病の場合は、視診だけで判断できる場合もあります。
性病検査はどこで受けられる?
性病検査を受けられる場所は、大きく次の3箇所です。
①保健所
②婦人科や泌尿器科などの医療機関
③自宅(郵送検査)
①保健所
保健所は性病の検査に対応しており、無料かつ匿名で性病の検査が可能です。しかし保健所での検査は対象となる性病の種類が限られています。また検査できる日が限定されている上、陽性だった場合は治療のために別途医療機関を受診する必要があり、治療開始までに時間がかかる点がデメリットです。
既に性病の症状が現れていて、迅速に治療を進めたい場合は、保健所以外での性病検査を検討する方が好ましいでしょう。
②婦人科や泌尿器科などの医療機関
婦人科や泌尿器科などの医療機関でも性病検査は受診可能です。医療機関であれば保健所よりも検査できる性病の種類が多く、陽性だった場合にスムーズに治療を進められます。特に大きな総合病院であれば、性病が原因で発症した他の病気にも対応可能です。
すでに症状が出ている場合には、医療機関を受診されることをおすすめいたします。
ただし医療機関の場合、保健所のように無料で検査はできません。また医療機関では匿名での検査は基本的にできません。
③自宅(郵送検査)
性病検査は郵送検査を利用することにより自宅でも受けることができます。郵送検査とは、自宅に届いた検査キットで検体を採取し、検体を検査会社へ郵送、検査会社で検査を行い、検査結果をWEB上で確認できるサービスです。
郵送検査を使えば、他人に知られることなく多くの性病を検査できます。郵送検査では主に次のような性病が検査可能です。
性器クラミジア・性器淋菌・トリコモナス・カンジダ・のどクラミジア・のど淋菌・B型肝炎・C型肝炎・HIV・梅毒
郵送検査を用いると、病院よりも検査費用を抑えられる可能性があります。病院の場合性病感染の疑いがあると医師に判断されない限り、検査費用は全額自己負担です。検査内容によっては、郵送検査の方が費用を抑えられる可能性があるでしょう。
◎郵送検査は定期検査も可能
郵送検査は単発の検査だけではなく、定期検査も可能です。そのため不特定多数の人との性行為をする機会がある人やパートナーが頻繁に変わる人は、郵送検査による定期検査で性病への感染状況を把握するのもおすすめです。医療機関でも定期的な検査は可能ですが、何度も医療機関を受診するのは避けたい場合や費用を抑えたい場合には郵送検査での定期検査を検討してみましょう。
◎郵送検査を選ぶ際は提携病院を確認
性病は検査するだけでなく、治療をすることが大切です。郵送検査を選ぶ際は、検査後の治療も考慮しましょう。
郵送検査の中には、病院と提携している検査会社もあります。病院と提携している検査会社であれば、検査結果が陽性だった場合に再検査不要で治療が可能なケースもあります。提携病院がない場合は、病院で再度検査が必要になるため、再検査の費用と時間がかかってしまいます。そのため、提携病院がある郵送検査を選ぶと良いでしょう。
性病の症状が自分やパートナーに現れたらすぐに検査しよう
性病の検査を受けた方がいい人は、症状が現れた人やパートナーに症状が現れた人です。また不特定多数の人と性行為をしていたりパートナーが頻繁に変わっていたりするのであれば、感染リスクが高いため、定期的に性病検査を受けましょう。性病は自覚症状がないまま感染している可能性もあるため、少なくとも1年に一度、不特定多数の人と性行為をしているのであれば月に一度を目安に検査をしましょう。
性病検査の方法は検尿や採血など、調べたい性病によって異なります。性病を人に知られずに検査したい場合は、自宅で完結する郵送検査がおすすめです。郵送検査であれば他人に知られずスムーズにさまざまな性病を検査できます。
不特定多数と性行為をしている人は月に1回の検査
症状や不安な行為がなくても年に1回は性病検査を受けることをおすすめします