GME医学検査研究所

治療をしても治らないかゆみや痛み...【マイコプラズマ・ジェニタリウム】が原因かも?

男性の性感染症の中で、最も多い疾患は尿道炎です

尿道炎は、淋菌が原因となる淋菌性尿道炎と、検出されない非淋菌性尿道炎に大きく分けられます。
非淋菌性尿道炎では、クラミジアが最も多くの原因となります。
しかし、以前から淋菌もクラミジアも検出されない症例が多くありました。最近になって、マイコプラズマ・ジェニタリウムの病原性が明らかになり注目されてきました。
この記事では、マイコプラズマ・ジェニタリウムの症状や注目を集めている理由について、解説していきたいと思います。


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マイコプラズマ・ジェニタリウムとは

マイコプラズマというと肺炎を思い浮かべる方も多いと思いますが、マイコプラズマ肺炎はマイコプラズマ・ニューモニエという細菌が原因菌です。
今回ご紹介しているマイコプラズマ・ジェニタリウムは性行為によって感染する性感染症の一種です。

【男性の尿道炎について】

マイコプラズマ・ジェニタリウム男性の症状は排尿時の痛み、陰部の不快感や軽い痛み、少量の透明で薄い分泌物が特徴的です。

症状は性別によって異なり、男性は尿道炎の症状がみられます。
排尿時の痛み、陰部の不快感や軽い痛み、少量の透明で薄い分泌物が特徴的です。
女性の症状については後ほど解説いたします。

注目を集める二つの理由

マイコプラズマ・ジェニタリウムが注目を集める理由は、『薬剤耐性』と『検査法』の二つあるので、それぞれ解説していきます。

①『薬剤耐性』

冒頭で、男性の尿道炎は原因菌によって大きく分けられるという話をしました。
それは、治療に使用する治療薬が大きく異なるためです。

淋菌性尿道炎と診断された場合には、セフトリアキソンやスペクチノマイアシンという治療薬が選択されます。
一方で、非淋菌性尿道炎の場合、クラミジアに感受性(治療効果)の高い治療薬であるアジスロマイシン(マクロライド系)が選択されます。

もともと、マイコプラズマ・ジェニタリウムはアジスロマイシンで治療ができたため、クラミジアとマイコプラズマ・ジェニタリウムを区別することなく治療ができていました。
しかし、次第にアジスロマイシンによる治療失敗例が報告されるようになり、現時点では日本における40%以上のマイコプラズマ・ジェニタリウムはアジスロマイシン(マクロライド)耐性(=薬が効かない)となっています。
そのため、マイコプラズマ・ジェニタリウムに対して保険適用された治療法がないため、尿道炎の治療に保険適用のあるシタフロキサシンでの治療が推奨されています。

しかし、シタフロキサシンの無効例もみられるようになってきており、ますます治療が困難になってきています。[注1]
その場合、服用期間の延長などで対処するなど、担当医師とよく相談しながら完治まで根気強く治療を行いましょう。

このように、薬剤耐性の進行により治療が困難になっていることから、マイコプラズマ・ジェニタリウムが注目されているのです。

②『検査法』

マイコプラズマ・ジェニタリウム感染症に対する検査法は、以前まで保険適用外でした。しかし、2022年6月にリアルタイムPCR法による核酸増幅検査が保険適用となりました。
これが、マイコプラズマ・ジェニタリウムが注目されるようになった第二の理由です。

[注1]非淋菌性尿道炎の第一選択薬に何を選択すべきか 濵砂 良一| 日本化学療法学会雑誌Vol.66 No.2 March 2018 http://journal.chemotherapy.or.jp/detail.php?-DB=jsc&-recid=5299&-action=browse(参照:2022-8-10)

男性だけじゃない!

今まで男性が感染した場合の尿道炎としてお話をしておりましたが、性行為で感染しますので当然女性にも感染します。女性が感染した場合には子宮頸管炎の症状がみられます。

【女性の子宮頸管炎について】

女性では、子宮頸管炎の症状がみられます。具体的には、普段と異なるおりものや生理以外の出血または性交後の出血です。また、排尿時の痛みや膣のかゆみ、下腹部の違和感を感じる人もいます。

具体的には、普段と異なるおりものや生理以外での出血または性交後の出血です。また、排尿時の痛みや膣のかゆみ、下腹部の違和感を感じる人もいます。
しかし、マイコプラズマ・ジェニタリウムに感染していても無症状であることが多いです。そのため、気付かないうちにパートナーへ感染させてしまう可能性があります。

また、症状に気付かなかったり、軽度の自覚症状だからと治療せずに放置すると、以下の深刻な健康被害につながるとの報告があるため注意が必要です。[注2]

【マイコプラズマ・ジェ二タリウムを放置すると...】
・骨盤内炎症性疾患(PID)
・早産や流産など妊娠への影響
・HIV感染のリスク増加
・性行為により感染した反応性関節炎
・不妊症
など

[注2]マイコプラズマ・ジェニタリウム (Mgen) | ロシュ・ダイアグノスティックス https://diagnostics.roche.com/jp/ja/products/product-category/mycoplasma-genitalium-mg.html(参照:2022-8-10)

予防と医療機関の受診が大切です

効果的な予防法としては、マイコプラズマ・ジェニタリウムの感染に限らず、不特定多数との性行為を避けること、オーラルセックスも含めて性行為の際には正しくコンドームを使用することです。不特定多数の相手との性行為は感染リスクが高まります。

マイコプラズマ・ジェニタリウムは感染していても症状が現れづらいのが特徴ですので、体にいつもと違う変化を感じたら、医療機関を受診することが大切です。
薬剤耐性の進行によって治療が困難な場合もあるので、なかなか症状が治らない場合には担当医師によく相談するようにしましょう。
そして、もしマイコプラズマ・ジェニタリウムに感染していた際には、パートナーへの検査も勧めるようにしましょう。

マイコプラズマ・ジェニタリウムについてのまとめ

マイコプラズマ・ジェニタリウムの
薬剤耐性化・治療法については、発表される情報を
察知して動向をチェックしていきましょう。
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