- ①匿名で無料で受診できる
- ②保健所によって検査項目が変わる
- ③予約をする必要がある
- ④検査結果は約1~2週間後に保健所へ聞きに行く
「気になる症状があり、性病かもしれない」「自覚症状はないが、性病になっていないか心配」など、性病に対して不安がある方もいるでしょう。性病検査を受けてみたいと考えていても、どこに相談をすれば良いのか、どのような流れで検査が行われるのか分からないという方もいるのではないでしょうか。
地域によって違いはあるものの、性病検査は保健所で受けることが可能です。ただし検査できる性病の種類には限りがあるため、場合によっては保健所以外での検査も選択肢に入れる必要があります。
そこで今回は性病検査が受けられる場所や、検査の流れについて詳しく解説します。
保健所で性病検査を受けられる?
性病検査は、地域によっては保健所で受けられます。
例えば神奈川県横浜市の場合は、各区の福祉保健センターなどでHIV・梅毒検査を無料かつ匿名で行っています[注1]。
婦人科や泌尿器科など、保健所以外の医療機関で性病検査を受ける場合は、基本的に有料です。性病検査を受けたいと考えているのであれば、まずはお近くの保健所で性病検査を実施しているかを確認してみると良いでしょう。
保健所で性病検査を受けるときの流れ
自治体によって多少流れが変わる場合もありますが、保健所で性病検査を受ける場合は、次のような流れで検査を受けます。
1.電話で問い合わせをする
まずは最寄りの保健所に問い合わせをし、相談をします。相談については本人ではなくても可能です。
HIV検査については全国のほとんどの保健所で匿名かつ無料で受けられます。しかし、梅毒やクラミジア、淋菌感染症といった他の性病の検査については保健所によって受けられる場合と受けられない場合があります。
さらに保健所ごとに検査日時や検査方法が異なることもあるため、性病検査を希望する際は、何の検査に対応しているのか、検査日時や検査方法はどのようになっているのかを確認する必要があります。
なお保健所によっては、平日だけではなく土日にも検査を行っている場合があります。
2.保健所の予約をする
保健所に問い合わせをし、内容に納得できるようであれば、予約を取りましょう。予約時には希望する検査日時を伝えて、日程を調整します。
3.検査当日
検査当日は、次のような流れで検査を行います。
- (1)問診票への記入
- (2)問診や説明
- (3)尿検査をはじめとする各種検査
- (4)血液検査
- (5)検査番号控えの受け取り
検査は匿名で行うので、問診票に氏名や住所を書くことはありません。また問診や説明については、基本的には簡単な質問や説明が行われる程度です。
HIV検査だけであれば採血のみを行いますが、その他の検査も行う場合は尿検査をはじめとする各種検査も行う必要があります。
4.検査終了後
検査が終わったら、検査結果を聞くために必要な検査番号の控えを受け取ります。その控えがないと検査結果を聞くことはできないため、検査結果が分かるまでは大切に保管しましょう。
5.検査結果
検査結果は検査項目ごとに異なりますが、検査当日または1~2週間後に口頭のみの説明が行われることが一般的です。
万が一結果が陽性だった場合、保健所では治療ができないため、治療のできる病院やクリニックを紹介してもらいます。
保健所以外で性病検査を受ける方法
保健所では無料で検査を受けることはできるものの、病院や検査キットの使用と比べて検査できる性病の種類が少ない場合があるというデメリットがあります。ここからは病院や検査キットの使用の概要やメリット・デメリットについて解説します。
◎ウイメンズクリニックや産婦人科(女性の場合)
女性の場合はウイメンズクリニックや産婦人科で性病検査を受けられます。
性感染症の初期段階では自覚症状が乏しい場合があり、発見が遅れると不妊症といった後遺症が残ってしまうこともあります。性感染症にかかっているのではないかと心当たりがある場合はもちろん、症状があった場合はウイメンズクリニックや産婦人科を受診しましょう。
また症状によっては皮膚科や耳鼻咽喉科で性病検査を受けられますので、それぞれの診療科を受診しましょう。
産婦人科 | ・外陰部にかゆみや痛みを感じる ・外陰部にイボや水泡状のものができている ・おりものの量が増えた ・おりものの色がいつもと異なる ・おりものから強い臭いを感じる ・排尿時や性交時に痛みを感じる ・性交後に性器から出血がある |
産婦人科又は皮膚科 | ・性器の周辺にできものができている |
耳鼻咽喉科 | ・のどに違和感がある ・のどが痛い |
この中でも特におりものは、性感染症に感染している場合に異常がみられる事が多くあります。日頃からおりものの量や臭いがないかを確認し、異常がみられる場合はなるべく早く受診をしましょう。
ウイメンズクリニックや産婦人科では、まず問診を行い、性器やおりものの状態を確認したり、血液検査や尿検査、膣分泌検査などを行ったりすることが一般的です。ただしこれら全てが行われるとは限らず、疑われる性感染症によって検査の方法は異なります。
性感染症に感染していることが判明した場合は、飲み薬の他、軟膏や注射、錠剤を膣に入れて治療する方法等があります。
HIVのように完全な治療法が確立されていない感染症や、手術を要する感染症を除いては、ほとんどの場合薬で治療することが可能です。
◎泌尿器科やメンズクリニック、皮膚科や耳鼻咽喉科(男性の場合)
男性の場合は泌尿器科やメンズクリニック、場合によっては皮膚科や耳鼻咽喉科で性病検査を受けられます。次のような症状がみられる場合は、それぞれの診療科を受診しましょう。
泌尿器科 | ・排尿時に痛みがある ・尿道から膿が出る ・性器にできものができている |
泌尿器科又は皮膚科 | ・性器の周辺にできものができている |
耳鼻咽喉科 | ・のどに違和感がある ・のどが痛い |
泌尿器科は、陰嚢や亀頭、陰茎といった性器そのものに異常がみられる場合に受診しましょう。
皮膚科については、性器周辺の皮膚に異常がみられる場合に受診をします。性病ではのどに症状が出る場合もあるため、のどに異常がみられる場合は耳鼻咽喉科を受診しましょう。
ただしそれぞれの部位を専門としている科であっても、性感染症に特化しているわけではありません。特に症状は無いが、性病の検査をしてもらいたいといった場合は問診の際にその旨を伝える必要があります。
◎検査キット
保健所以外で性病検査を受ける方法として、検査キットが挙げられます。ただし日本では薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)により、ドラッグストアなどの一般店舗における性病検査キットの販売が禁止されています[注2]。
検査キットで性病を調べる方法としては、主に次の3つの方法があります。
・郵送検査サービス会社の利用
・オンラインショップでの購入
・専門クリニックによるオンライン診療
以下では、それぞれの概要を解説します。
郵送検査サービス
郵送検査サービスは、自宅で検体を採取したものを郵送し、後日検査結果を受け取るサービスです。インターネットの専用サイトから検査を申し込み、採取した検体を返送して検査を行うのが一般的です。
匿名性が高く、自宅で検査ができるため、誰にも知られることがなく性病検査をすることが可能です。
時間の制約がない点も、郵送検査サービスの大きなメリットといえるでしょう。
ただし郵送検査サービスは検査を専門としている事業者のため、性病検査で陽性判定が出た場合に、治療を受けることはできません。さらに検体を採取する際に誤った方法で採取をすると、正確な検査結果が出ない可能性もあります。
郵送検査サービスを利用する際は、検査キットに同封されている説明書や、郵送検査サービスの事業者が公開している動画などをきちんと確認し、適切な方法で検査を行いましょう。
オンラインショップ
性病検査キットは、オンラインショップで購入が可能です。オンラインショップで購入できる性病検査キットは、主に医療機関や郵送検査サービスの事業者から出品されている製品です。
製品を購入して検体を採取し郵送すると、郵送先で検査が実施され、後日検査結果が通知される仕組みとなっています。
インターネットで性病検査キットを購入する大きなメリットは、簡単に購入手続きができる点です。一方デメリットは、検査が正確に行われないリスクがある点です。
オンラインショップの中には粗悪品や模造品が売られている可能性もないとは言い切れません。性病検査キットをオンラインショップで購入する場合は、正規の販売者かどうか、必ず確認しましょう。
専門クリニックによるオンライン診療
近年ではオンライン診療ができる専門クリニックもあります。
オンライン診療では、まずは電話やビデオ通話などで医師の問診を受けます。その後にクリニックから送られてくる性病検査キットを使用して自分で検体を採取し、返送をして検査結果を待つという仕組みです。
専門クリニックでオンライン診療を受けるメリットは、プライバシーが守られた状態で専門医による診療が受けられる点であるといえます。仮に検査結果が陽性だった場合も、専門医による治療がすぐに受けられます。さらに通院とは異なり待ち時間がない点もメリットといえるでしょう。
しかし専門クリニックによるオンライン診療は、オンラインショップで購入できる性病検査キットと比較すると、どうしても割高になりがちです。アフターサービスや検査の精度などを比較し、自身が納得できる方法で検査をしましょう。
自分に合った方法で性病検査を受けよう
性病検査は保健所で受けられますが、病院での受診や検査キットの使用時に比べて検査できる項目が少なかったり、希望する日時に検査をできなかったりする可能性があります。性病検査を受けてみたいと思ったら、まずは最寄りの保健所に問い合わせをし、検査内容や検査日時などを確認してみましょう。
そして保健所での性病検査が難しい場合や複数の性病の検査を行いたい場合は、女性であればウイメンズクリニックや産婦人科、男性であれば泌尿器科やメンズクリニック、皮膚科や耳鼻咽喉科などで検査を検討してください。
また自宅でプライバシーを保って検査をしたい場合は、検査キットの使用やオンライン診療を受けるのもおすすめです。自分に合った方法を見つけ、性病検査を受けましょう。
ただし検査項目に限りがあったり予約が必要なため事前に確認しましょう
保健所以外で性病検査を受ける方法もあるため自分にあった方法を選びましょう