- ①大腸がんは日本のがん死亡率トップ3にはいる
- ②初期症状がほとんどない
- ③病期が進行していたがんほど再発率が高い
- ④定期的な検査が大切
がんの病期が進むに連れ治療が困難になり、予後が悪くなる大腸がんですが、初期症状がほとんど無いため発症しても気がつきにくい事が特徴です。今回は大腸がんの初期症状や生存率、治療、検査について解説します。
大腸がんとは
大腸は、1.5~2mの結腸(盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸)が小腸を囲むように伸び、直腸(直腸S状部、上部直腸、下部直腸)につながっています。
結腸では通過する食物から水分と電解質を吸収し、便を作ります。また、小腸で消化しきれなかった炭水化物やたんぱく質などを分解、吸収する役割もあります。
直腸は結腸で作られた便を貯めておくところです。一定量貯まると便意をもよおし、肛門括約筋が弛緩して便が排出されます。
大腸がんとは、大腸(結腸、直腸)に発生するがんです
大腸の粘膜に発生したがんは、時間経過とともに大腸壁に浸潤し、大腸の壁を越えて腹腔内に散らばる腹膜播種をおこします。また、大腸の壁に流れるリンパ液に乗ってリンパ節転移をおこしたり、大腸の血流に乗ってほかの臓器に転移します。転移しやすい臓器は肝臓・肺・脳・骨などです。
大腸がんの5年純生存率(2014-2015年)
大腸がんは全体の95%が良性ポリープががん化した腺腫で、50%がS状結腸と直腸で発生します。
大腸がんの進行はがんの壁深達度、リンパ節転移、遠隔転移の組み合わせにより各病期(ステージ)に分類されます。
0期:がんが粘膜内にとどまっている
Ⅰ期:がんが固有筋層内にとどまっている
Ⅱ期:がんが固有筋層を超えて浸潤している
Ⅲ期:がんの深さに関わらず、リンパ節に転移している
Ⅳ期:がんの深さやリンパ節転移に関わらず、他臓器への転移がある
ステージⅠ期では5年純生存率が90%を超えますが、Ⅳ期では20%を下回ります。がんの病期が進むに連れ治療が困難になり、予後が悪くなります。
ネット・サバイバル:がんのみが死因であると仮定して計算する方法。
大腸がんの治療
大腸がんの治療は、0〜Ⅲ期までは開腹手術または内視鏡での腫瘍の切除が選択されます。
Ⅲ期もしくは再発リスクの高いⅡ期では手術後に薬物療法も検討されます。
Ⅳ期では、転移したがんも原発巣(大腸)もどちらも切除できる場合に手術が行われます。転移巣は切除できるけれど原発巣は切除できない場合、原則として手術以外の薬物治療や放射線治療が勧められます。転移巣は切除できないけれど、原発巣に症状があり、切除可能な場合は、原発巣に対して手術を行うことがあります。
がんを切除したあとに再発する可能性は、Ⅰ期では約6%、Ⅱ期では約15%、Ⅲ期は約30%です。[注1]0期の大腸がんでは再発はほぼありません。病期が進行していたがんほど再発率が高くなります。再発する人の約85%は手術後3年以内に、95%以上は5年以内に見られます。
大腸がんの年齢別罹患率
日本では、全がん種の中で大腸がんの罹患数が一番多く、男性は10人に1人、女性は12人に1人が罹患しています。罹患率は男女とも40代から増え始め、50代以降に著しく上昇します。
大腸がんで亡くなった人は、2021年は52418人(全がん種の中で男性2位、女性1位)に達し、この20年で1.5倍に増えています。
大腸がんは患者数が多く、死亡数も多いですが、がん検診の受診率は高いとはいえません。大腸がん検診は、40歳以上の人は年に一度受けることが推奨されていますが、2022年度の受診率は男性で49.1%、女性で42.8%でした。[注2]
早期発見することで高い確率で完治できる病気です。40歳以降は定期的に検診を受けましょう。
[注2]※出典)大腸がん情報サイト https://www.daichougan.info/topics/120817_01.html
こんな症状は大腸がんかも⁉
大腸がんには、初期症状がほとんどなく、検診で指摘されて初めて気づく人が4割程度います。
がんが直腸付近に発生した場合は、便が細くなったり便秘と下痢をくりかえすなどの排便習慣の変化や、血便がみられることがあります。
上行結腸や横行結腸に発生した場合は腫瘍が大きくなるまで気づきにくいです。
腫瘍が大きくなり、からだの外からしこりに触れて気づいたり、貧血の原因を調べて初めて腫瘍からの慢性的な出血がおきていることに気づいたりします。大腸がんそのもので痛みを感じることはなく、がんによって腸内が狭窄し、便の通りが悪くなった場合に痛みを感じることがあります。腸が完全に塞がれてしまうと嘔吐や腹痛が起こり、腸閉塞に対する緊急手術が必要になります。
がんが直腸に近いと、肛門痛として認識されることがあります。また、がんが周辺組織(神経や他臓器)に浸潤している場合、神経痛や背部痛などが起きる可能性があります。
大腸がんってどんな検査をするの?
-
①便潜血検査
大腸がんのスクリーニング検査として、便潜血検査が行われます。がんがある場合、大腸内で出血することがあり、血液が便中に含まれていないか検査します。
ただし、痔などからの出血がある場合、便潜血検査では判別ができないため、異常が認められた場合は、大腸内を直接調べる精密検査を行います。大腸がんの場合でもいつも出血しているとは限らないため、検査精度を高くするために2日間に分けて採取する「2日法」が一般的です。また、採取する際は、便の一か所からではなく複数の箇所から採取することが重要です。
-
②大腸内視鏡検査
精密検査の第一選択として大腸内視鏡検査が行われます。
下剤を飲んで腸内を空にした状態で、肛門から内視鏡を挿入します。直腸から盲腸までをカメラで直接見ることができます。
ポリープや腫瘍などの病変がないか目視で確認し、器質的変化のある部分の組織を採取、悪性ではないか調べます。診断精度は高いですが、まれに、腸内を傷つけ出血が起きたり、腸に穴が開く穿孔が起こるなどの偶発症が発生することがあるため比較的高度な技術を必要とし、多くの受診者に行うことができないため住民検診等では推奨されていません。 -
③病理検査
内視鏡で採取した組織を薄く切り、プレパラートに乗せて顕微鏡で観察します。この検査で採取した組織が悪性ではないか、確定診断が行われます。悪性だった場合、がんが取りきれているか、周囲組織への転移はないか、がん組織の種類などが調べられます。
-
④大腸X線検査
内視鏡での観察が困難な場合、バリウムを利用して奥の大腸を調べます。検査前に下剤を飲んで腸内を空にした状態で、肛門からバリウムを注入し、空気で腸を膨らませてX線で大腸をいろんな方向から透視します。
-
⑤大腸CT検査
検査前に下剤を飲んで腸内を空にした状態で、肛門から炭酸ガスを注入し、CT撮影します。
-
⑥大腸MRI検査
腹部や骨盤内の腫瘍の深さやリンパ節転移の有無などを詳しくみるため、磁場と電波を用いて体の断層撮影を行います。
-
⑦直腸指診
肛門から指を挿入し、直腸内のしこりや異常の有無を指の感触で調べます。
-
⑧PET-CT検査
がん細胞は増殖のため多くのブドウ糖(FDG)を必要とします。PET-CTでは、放射線薬剤FDG(ブドウ糖類似PET検査薬)を血管から注入し、全身の組織のどこにFDGが集積されるかを観察します。放射線薬剤FDGが集積される場所に、腫瘍や炎症があると考えます。大腸がんでは、再発や転移がないか調べるために行われます。
自宅でもスクリーニング検査ができる
大腸がんは早期発見することがとても大事な病気です。
自治体や職場の健康診断でも受けられますが、気になったときに自宅ですぐ検査できるのが、郵送検査の大きなメリットです。
GMEでは大腸がんのための、便潜血検査を取り扱っています。
インターネット経由でいつでも申し込むことができ、17時までの申込で即日発送しますので、すぐにお手元に商品が届きます。中には、検査申込書・返信用封筒・問診票・大便採取キット(2日分)が同封されています。
検査する人の都合の良いタイミングで2日続けて便を採取し、同封の返信用封筒で検体を送り返すだけで、GMEに検体到着した1〜2日後には検査結果が出ます。検査結果はインターネットで確認できます。
早期発見することで高い確率で完治できる病気なので、とくに40歳以降は定期的に検診を受けましょう
GMEでは大腸がんのための、便潜血検査を取り扱っています。郵送でできる検査なので、忙しい人の定期検査におすすめです。