性病の疑いがあるなら早めの検査がおすすめ
- ①性病による症状の重さには、大きな違いがあります。
しかし、性行為によって誰かに感染させてしまう恐れがある点においては共通しています。
症状の重さに関係なく、パートナーに危害が及ばないように十分な警戒が必要でしょう。 - ②潜伏期間が長いものによっては、なかなか症状が見られず自分では感染に気づけないかもしれません。
感染した性病の種類によって、その症状の重さは異なります。もし自分に疑いがあるのであれば、誰かにうつしてしまわないように十分に注意しなければなりません。
今回は、潜伏期間中に性病がうつるのかについて、可能性や検査可能時期を踏まえて詳しく解説します。
病原体に感染したあと、最初の症状が見られるまでの期間のことを、潜伏期間といいます。
病気の種類によって潜伏期間は異なるとされており、この点においては性病もほかの病気と同じです。
潜伏期間が短い代表的な性病の1つが淋病です。
淋病は、主に性行為によって粘膜に感染する病気で、その潜伏期間はおよそ2〜7日ほどだとされています。
性別によって感染部位が異なり、男性は尿道あるいは肛門(※肛門への感染は女性でも起こります)、女性は膣に感染します。
感染すると、男性は尿道炎、女性は子宮頸管炎などの症状が現れることが特徴です。
ほかの性病と比較して潜伏期間が短いため、原因となった性行為のあと、比較的速やかに症状が見られるでしょう。
一方、潜伏期間が比較的長い性病としては、クラミジアが挙げられます。
性行為によって感染する性病の1つで、男性は尿道または肛門(※肛門への感染は女性でも起こります)、女性は膣の他、男女共通でのどに感染するケースもあります。
クラミジアの潜伏期間は、およそ1〜3週間です。
性病の種類によって潜伏期間は異なりますが、その間の性行為によって感染させてしまう可能性は十分にあるとされています。
潜伏期間の長さが違うのは、その性病の原因となる菌の成長がそれぞれ異なるためです。
そのため、あくまでも症状が見える形で出てきていないだけで、人にうつしてしまう恐れは十分にあります。
感染した人の免疫力によっては、症状がなかなか見られないようなケースや、まったく症状が出てこない場合も考えられます。
このことから、潜伏期間中でも感染するリスクはありますし、症状が見られないからといってうつす恐れがないとも言い切れないのです。
性病に感染していないか不安を感じられた際には、迷わずに検査を受けてみることを推奨します。
原因となる性行為を行ったあと、検査による感染の確認が可能になるまでには、一定の期間があります。
期間を過ぎて検査が可能になるタイミングが、検査可能時期です。
性病は、それぞれの原因となる菌によって潜伏期間が異なります。
同様に、検査可能時期も種類によって違ってきます。
ただし、いくつかの性病に関しては、性行為のあと24時間経てば検査によって感染の確認が可能です。
先ほど潜伏期間が短い例と長い例で挙げた淋病とクラミジアですが、これらはどちらも検査可能時期が来るのが早く、性行為後すぐにでも、検査によって精度の高い結果を得られます。
同じ性病でも、原因となる菌や症状、潜伏期間はさまざまです。
そのため、検査方法も大きく異なってくる場合があります。
例えば、B型肝炎やC型肝炎、HIV、梅毒といった性病は、採血によって検査が行われます。
感染後に体内でできる抗体を確認することで感染しているか検査を行うのですが、性病の種類によって検査項目が異なることに注意が必要です。
(※B型肝炎は抗原を検査しています)
原因となった性行為から一定の時間を置いてからでないと、正確な検査結果が得られない可能性があります。
性病の種類による潜伏期間や検査可能時期について、多く報告されるものを挙げて細かく紹介します。
潜伏期間が短い順に紹介しますので、参考にしてください。
数ある性病のなかでも潜伏期間が短いのが、淋病です。
先述のとおり、潜伏期間は2〜7日ほどで、検査可能期間は感染機会から24時間以降です。
感染すると、男性は排尿時の痛みや尿道口から膿といった症状が見られます。女性の場合、おりものが増えたり、不正出血を起こしますが、無症状のことも多いです。
性器ヘルペスは、単純ヘルペスウィルス1型あるいは2型が感染することで発症する性病です。
感染すると、男女ともに性器に潰瘍性や水疱性病変が見られるようになります。
潜伏期間は3日から1週間ほど、検査可能期間は症状が現れているときです。
ここからは、潜伏期間が1週間以上とされている性病です。
先述のとおり、クラミジアは潜伏期間1〜3週間ほどとされています。
検査可能期間は感染機会から24時間以降なので、疑わしいのであれば速やかに病院で診てもらうといいでしょう。
感染すると、男性は尿道に違和感やかゆみが感じられます。
女性の場合は症状がほとんど見られないことも多いですが、おりものが増えたり、特有の臭いがしたりします。
クラミジアと同様、潜伏期間が1〜3週間とされているのがトリコモナス症です。
トリコモナス症は、トリコモナス原虫が寄生することで感染する性病です。
クラミジアとは少し異なり、感染機会から24時間後より検査によって十分な結果が得られるようになります。
男女ともに症状が見られないことも多い性病です。
男性の場合は尿道の痒みや排尿痛、女性はおりものが増えたり特有の臭いが見られたりします。
クラミジアと同様、潜伏期間が1〜3週間とされているのがマイコプラズマ・ウレアプラズマです。
2012年から日本でも検査が可能になったので、国内における認知度は比較的低いかもしれません。
検査によって十分な結果が得られるのは、感染してから24時間後以降です。
男性の場合、尿道炎や排尿時の不快感、分泌物といった症状が見られます。
一方で女性の場合は症状が見られないことが多く、おりものが増えたり性交時に特有の痛みがあったりします。
性行為のほか、キスだけで感染することもあるので気をつけなければいけません。
ここからは、潜伏期間が1ヵ月におよぶ場合もある性病について紹介していきます。
C型肝炎は、潜伏期間が2週間から3ヵ月ほどまでかかるとされている性病です。
精密検査で十分な結果を得るためには、感染機会から3ヶ月以上待つ必要があります。
男女ともに自覚症状がほとんど見られないのですが、放置しているとやがて肝硬変や肝臓癌に移行する恐れがある危険な性病です。
C型肝炎ウイルスの感染によって発症してしまう性病で、血液や体液を介して感染するとされています。
梅毒は、潜伏期間が3週間から3ヵ月ほどとされている性病です。
検査によって十分な結果を得るためには、感染機会から1か月間は待つ必要があります。
感染すると、男女ともに痛みが発生しないしこりや赤褐色のバラ疹が見られます。
かつては不治の病として大変に恐れられていました。
現在では治療薬が発見されており、早期治療であれば完治は十分に見込めます。
しかし、放置していると、大動脈炎や大静脈瘤、ゴム腫形成、鞍鼻などが発症する恐れがあります。
高い感染力を持っていますので、十分な警戒が必要です。
尖圭コンジローマは、潜伏期間が3週間から8ヵ月ほどとされている性病です。
たとえ感染しても症状が見られないことが多く、基本的には視診によって感染が確認されます。
感染すると、男女ともに陰部や肛門の周辺にイボが形成されることが特徴です。
治療は、電気メスや炭酸ガスレーザーを用いた手術のほかに、軟膏や液体窒素などを用いて行うものもあります。
B型肝炎は、潜伏期間が1〜6ヵ月ほどとされている性病です。
感染機会があってから2カ月以降でないと検査によって十分な結果が得られません。
B型肝炎の代表的な症状は、男女ともに体のだるさや吐き気、頭痛などです。
B型肝炎ウイルスが原因となって発症する性病で、C型肝炎と同様に血液や体液を介して感染します。
キスのような性的接触によって感染する恐れがある点も共通しています。
慢性肝炎だと、ウイルスを完全に体から排除することは現実的ではありません。
肝硬変やガンになってしまうのを防ぎながら長生きするための治療法を選んでいくことになります。
恐ろしい性病の1つとして、エイズは多くの人に認知されています。
その潜伏期間は、3ヵ月から数年です。
NAT検査であれば、感染機会から2週間、即日検査の場合は6週間後から検査によって陽性が判明していきます。完全に感染していないことを確認する場合には、3か月経過後に検査を受ける必要があります。
感染すると、男女ともに免疫力がだんだんと弱っていく病気です。
人は、免疫力が弱まることで、健康な人では影響のないウイルスや菌によるリスクに冒されてしまいます。
原因となるウイルスを完全に取り除くことはできませんが、医療の進歩によって現在ではさまざまな治療薬が登場しており、これまでほどの脅威はなくなってきています。
カビの1種であるカンジダ属の真菌によるもので、主に女性によく見られるとされている性病です。
潜伏期間は、数年におよぶこともあるとされています。
女性に感染すると、おりものが白くなったり、かゆみや性交痛が見られたりします。
検査は随時検査可能です。