- ①梅毒は段階によって症状が変わる
- ②ヘルペスは性器や角膜に発疹ができる
- ③尖圭コンジローマは性器にイボができる
- ④症状が出ない性病もある
性病は感染して発症すると、できものができたり、性器が痒くなったりする場合があります。ですが、あまり症状が現れないものなどもあります。
さらに、症状が出た場合でも他の病気と見分けがつかなかったりする場合もあります。今回のコラムでは症状が分かりやすい性病の、症状をイラストつきで解説しています。
性病とは?
性病とは、性行為によって感染する病気の総称で、性行為感染症、STD、STIとも表記されます。
唾液や粘膜、血液の接触により、細菌やウイルス、原虫などが性器や口腔、目、直腸などの粘膜に感染して様々な症状が現れます。症状がわかりやすく発現するものばかりではなく、長期間潜伏した後に発症するもの、感染してもあまり症状が現れないものなどもあります。
主な性病として、下記のようなものがあります。
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梅毒
梅毒トレポネーマという細菌が原因で起きる性病です。近年、梅毒は世界的に流行しています。日本でも患者数が増え続けています。
梅毒は症状のない時期を挟んで4段階で現れ、段階によって症状が違います。各段階が進むにつれ重症化していきます。 -
HIV
HIV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染することによって起こる性病です。
感染すると数週間以内にインフルエンザにかかったような高熱や筋肉痛などの症状が出ますが、HIVに特徴的な症状ではないため見逃されることが多いです。その後は、特に症状が出ることもなく数年から十数年経過しますが治ったわけではありません。
HIVが進行すると、免疫力が低下し、日和見感染症等を引き起こす状態になり、この状態のことをAIDS(エイズ)と呼びます。AIDSを発症すると、通常の免疫力があれば体に害を及ぼさないような真菌(クリプトコッカス、ニューモシスチスなど)により重症の肺炎を発症したり、カポジ肉腫や子宮頸がん、リンパ腫など特定の悪性腫瘍の発症率が上昇します。さらに食欲不振、下痢、るい痩(著しい痩せ)がみられます。 -
クラミジア
クラミジア・トラコマチスと呼ばれる細菌による性病です。日本でも特に多い性病の一つです。
男性は尿道炎にともなう排尿痛、かゆみ、サラサラした尿道分泌液の排出などの症状が現れます。女性の場合は、症状が進行すると子宮頸管炎や子宮内膜症、卵管炎、骨盤腹膜炎などを発症することがあります。 -
淋病
ナイセリア・ゴノレアと呼ばれる細菌による性病です。
女性が感染した場合は無症状であることが多い性病です。感染に気づかず他の人にうつしてしまうことが多い感染症のひとつです。男性の場合は、熱っぽさや尿道のかゆみなどの症状が現れ、黄色い膿や粘液が出るケースもあります。排尿するときに強い痛みを感じたり、陰嚢が腫れたりする場合もあります。
基本的には最初に感染した部位(腟、尿道、肛門など)に症状が出ますが、まれに淋菌が血液に入り、血流に乗って皮膚や関節に広がることがあります。 -
ヘルペス
単純ヘルペスウイルスによって引き起こされる性病です。性器に水疱やただれ、発熱やリンパ節の腫れなどが起きますが、無症状の人も多いです。一度治ったあとも繰り返し症状がでる(再燃)ことが多い病気です。
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カンジダ
体内に常在しているカンジダ・アルビカンスという種類の真菌が原因でおきる性病です。免疫力の低下や抗生剤の使用などを契機としてカンジダが異常増殖することにより発症します。
女性の場合は常在菌として腟に存在しているケースもありますが、腸管から肛門を経由して腟に侵入する自己感染のケースもあります。
性器周辺のかゆみ・発疹、白っぽいおりものの増加、排尿時・性交時の痛み、カサつきやただれ、赤み(男性の場合)などが主な症状です。 -
トリコモナス
トリコモナス原虫という病原体によって引き起こされる性病です。性行為によって感染し、一般的には女性に強い症状が現れます。悪臭のする白色から黄色の泡状のおりものが大量に出たり、陰部がかゆくなったりします。
男性の場合は無症状なことも多いですが、頻尿や排尿時の痛みといった症状が出ることもあります。悪化すると尿道炎などを発症する可能性もあります。主な感染経路は性行為ですが、性行為の経験がない女性が発症することもあります。トイレの便座や公衆浴場、タオルの共用などでも感染することが知られています。
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A型、B型、C型肝炎
A型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスによる、肝臓の炎症疾患です。性感染症として最も多いのはB型肝炎になります。どの肝炎も、発症時はインフルエンザ様症状がみられます。
A型は通常は完全に回復しますが、まれに劇症肝炎に進行します。
B型肝炎は5〜10%が慢性肝炎に進行し、一部が劇症肝炎に移行します。
C型肝炎は約7割が慢性肝炎に移行し、その半数が肝硬変や肝癌に進行します。 -
尖圭コンジローマ
6型や11型のHPV(ヒトパピローマウイルス)に感染することで、肛門や外陰部、腟に尖ったイボが発生します。通常、かゆみや痛みはありませんが、性交時に痛んだり、かゆみが現れることもあります。
こんな症状は性病かも?画像付きで解説
性病のなかには、皮膚に発疹やしこりが現れるものがあります。
代表的なものについて、イラストを用いて視覚的にわかりやすく紹介します。
◎梅毒
梅毒の症状は、症状のない時期を挟んで4段階で現れ、段階によって症状が違います。各段階が進むにつれ重症化していきます。第一期と第二期で目に見える症状が現れますが、やがて消失します。
【第一期】:感染後約3週間経過後に性器などにしこり(初期硬結)やできものが出ますが痛みなどはないです。数週間で自然に消えます。
【第二期】:感染から約3ヶ月経過すると全身や手のひらや足の裏などに赤い発疹が出たり、外陰部や肛門に腫瘤ができたり脱毛が見られたりします。その他、発熱、体重減少、倦怠感などが現れます。数週間~数カ月で症状は自然に消えます。
【第三期】:感染から3年経過するとゴムのような腫瘤ができる。
【第四期】:感染から10年以上経過した状態で心臓や脳血管、神経に異常がおきます。
◎ヘルペス
単純ヘルペスウイルスによって、性器や角膜、唇など感染部位に発疹ができます。
単純ヘルペス角膜炎は異物感、流涙、羞明(まぶしさ)、結膜充血などがみられ、再発を繰り返すと、潰瘍、不可逆的な瘢痕化、および視力低下を引き起こし、失明の原因にもなります。
性器ヘルペスは、性器周辺に水疱やびらんが現れます。
◎尖圭コンジローマ
尖圭コンジローマはHPV(ヒトパピローマウイルス)により、性器にイボが出来る性病です。
症状が出ない性病もあります!
◎症状が分かりにくい性病
【HIV】感染時に軽い風邪のような症状(微熱、倦怠感、頭痛など)がみられることがありますが、特徴的な症状ではないため感染に気づかないことがあります。
【梅毒】病期によって出現する症状が変わります。第二期を過ぎると数年から数十年の間、目に見える症状が出ないまま病気が進行していきます。
【クラミジア】男性は排尿時の違和感などで感染に気づくことがありますが、女性は感染しても症状がないことが多いです。
【淋菌】女性が感染した場合は無症状であることが多いです。
【トリコモナス】男性の場合は無症状であることも多いです。
不安な時には検査をしましょう
性病には、わかりやすく目に見える症状を示すものもありますが、わかりにくいもの、ほかの病気かもしれないと悩むものもたくさんあります。
性病は、性行為を行った人なら誰でも感染する可能性があります。
・コンドームなしの性行為があった
・相手の体や性器に発疹があった
・性器がかゆい、痛い
・オリモノが臭う、色が普段と違う
・不特定多数の人と性行為をしたことがある
・のどが痛い、腫れている、できものがある
・性交痛がある
など、少しでも気になることがあれば検査を受けましょう。
病院に行くことに抵抗があったり、不安な人には、郵送検査もおすすめです。
GMEでは検査結果を持参するとスムーズに治療が受けられるように、複数の医療機関と提携しています。性病かも?と思ったときは、まずは郵送検査を用いることも良いのではないでしょうか。
見た目の変化がなくても感染している危険があるため、定期的に検査をすることが大切です