GME医学検査研究所

健康診断でアルブミンが異常値だった!アルブミンの働きと
基準値に戻すための対処法について【生活習慣病の知識vol.6】

アルブミンを正常値にするためには?

アルブミンは血液中で重要な役割を果たすたんぱく質です。もしも異常値が出てしまった場合に、どんな病気を発症する恐れがあるのか?
アルブミンの値を正常値にするためにはどのような対処が有効なのかについて解説します。


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アルブミンの役割とは

アルブミンは、血液中に最も多く存在する蛋白質で、主に肝臓で合成されます。

アルブミンは血管内の浸透圧を維持するのに重要な役割を果たしています。血管内外の血液中の水分の移動を調整し、水分が血管内に留まるようにしています。アルブミン濃度が低下すると、血管内の浸透圧が低下し、組織に水分が漏れ出しやすくなるため、浮腫(むくみ)を引き起こします。

また、アルブミンは体内の様々な物質の運搬にも重要な役割を果たします。脂肪酸やホルモン、ビタミンなどの物質と結合して血液中を流れ、これらを必要としている器官や組織に届けます。特に、ホルモンに関しては、アルブミンが結合することで、その効果が適切な時間に発揮されるよう調整します。

このように、アルブミンは体内での浸透圧維持、物質の運搬といった役割を担っており、健康維持に不可欠な物質なのです。

アルブミンの基準値について

◎基準値とは

アルブミンの血中濃度の基準値は、一般的に成人で4.1~5.1g/dL(共用基準範囲)とされています。この範囲内であれば、体内の浸透圧維持や物質の運搬機能が正常に行われていると考えられます。アルブミンの数値が低い場合には、次のようなリスクがあります。

・浮腫(むくみ)や体液の異常蓄積:アルブミンは血管内の浸透圧を維持する役割があり、その値が低いと血管内から水分が漏れやすくなり、浮腫(特に足や顔)、胸水、腹水などの体液の異常蓄積が起こります。これが進行すると、呼吸困難や内臓の圧迫などの生命に関わる合併症を引き起こす恐れがあります。

・栄養不良や慢性疾患のサイン:栄養不足、慢性肝疾患、腎疾患、炎症性疾患などが原因となる場合、それらの疾患が進行すると生命に危険が及ぶ恐れがあります。たとえば、肝硬変やネフローゼ症候群は、治療が遅れると致命的となる疾患です。

・免疫力低下:低アルブミン血症は体全体の栄養状態の悪化を反映している場合が多く、免疫力が低下し、感染症にかかりやすくなるリスクもあります。重度の感染症は命に関わることがあります。

◎基準値が変わる要因

アルブミンは、年齢によって値が変化することがあります。
年齢が上がるにつれて、アルブミン値が低下する傾向があります。これは、加齢に伴う栄養状態の悪化、肝機能の低下、慢性疾患の増加などが原因です。高齢者は、タンパク質の摂取不足や慢性的な炎症、病気によるアルブミンの消耗が多く見られ、低アルブミン血症に陥りやすいです。
また、新生児では、新生児期に特有の代謝や肝機能が未熟なことにより、アルブミン値が低くなります。

アルブミンに性差はみられませんが、生活習慣やホルモンバランスが異なることから、違いが現れることもあります。例えば、女性は妊娠時に血液量が増えるため、アルブミン値が相対的に低下します。

アルブミンが低い場合

アルブミンが低い状態(低アルブミン血症)で考えられる原因や疾患について、紹介します。

1.肝疾患

アルブミンは肝臓で合成されるため、肝硬変や肝炎などで肝機能が低下すると、アルブミンの生産が減少します。

2.腎疾患

ネフローゼ症候群などの腎疾患では、尿中に大量のアルブミンが漏れ出すため、血中アルブミン濃度が低下します。

3.栄養不良

十分なタンパク質やカロリーを摂取できない場合、アルブミンの合成が不十分となります。

4.慢性炎症や感染症

慢性的な炎症や感染症は、体内でアルブミンの消耗を促進し、濃度を低下させます。

5.妊娠

妊娠時は血液量が増加するため、相対的にアルブミンが低下します。

また、高齢になるとアルブミンの値が低下する傾向があります。これは、加齢により次のような要因が影響するためです。

肝機能の低下 アルブミンは肝臓で合成されるため、加齢に伴って肝機能が低下すると、アルブミンの産生も減少します。
栄養状態の悪化 高齢者は、食欲不振や消化吸収能力の低下、または病気によって栄養摂取が十分でなくなることが多く、タンパク質の不足がアルブミンの低下につながります。
慢性疾患の影響 高齢者では、慢性的な炎症や疾患(糖尿病、心疾患、腎疾患など)が多く、これによりアルブミンの消耗や排出が増加します。

アルブミンが高い場合

アルブミンが高くなる(高アルブミン血症)ことはまれで、通常、病的な原因よりも一時的な状態として高くなることがあります。高アルブミン血症は、通常深刻な疾患を反映しているわけではなく、主に水分補給などで改善されることが多いです。

脱水症 もっとも一般的な原因は脱水です。体内の水分量が減少することで、相対的に血液中のアルブミン濃度が上昇します。この場合、実際にはアルブミンの総量が増えているわけではなく、血液が濃縮されているために値が高くなります。
強いストレスや外傷 体がストレス状態にあるときや大きな外傷を受けたとき、血液中の蛋白質の分布が変わることがありますが、これは一時的なものです。
急性の感染症 一部の急性炎症や感染症でも、アルブミン値が上昇することがありますが、非常にまれです。

アルブミンを増やすには?

◎栄養補給

アルブミンは蛋白質のひとつであるため、食事から十分なタンパク質を摂取することが必要です。肉、魚、卵、大豆製品(豆腐、納豆)、乳製品(チーズ、ヨーグルト)を始めとした高タンパク質食品を摂取することや、動物性タンパク質と植物性タンパク質を組み合わせてアミノ酸バランスの良い食事を心がけましょう。

◎肝機能の改善

アルブミンは肝臓で合成されるため、肝機能を改善することも重要です。肝機能をサポートする食材や習慣を取り入れましょう。緑黄色野菜や果物には、ビタミンB群や抗酸化物質を含むため、意識して摂るようにしましょう。また、過度なアルコール摂取を控えるようにしましょう。

◎病気の治療

アルブミンが低い原因となる疾患(肝疾患、腎疾患、慢性炎症など)を治療することが根本的な対策です。この場合には、医師の診断と治療が必要となります。

◎サプリメントの活用

栄養状態が悪い場合や、十分な食事が困難な場合、医師の指導のもとでタンパク質サプリメントやアルブミン製剤を利用することもあります。

アルブミンの検査や治療について

◎検査方法

アルブミンの数値が気になる場合、どこで検査できるのかを紹介します。

1.病院やクリニック
一般的な内科や消化器科、肝臓専門の診療科で、血液検査としてアルブミンは測定できます。肝機能や腎機能の検査として、定期健診や症状に応じて行われます。

2.健診センター
健康診断を行っている健診センターや企業の定期健診でも、血液検査項目としてアルブミンの測定が含まれていることがあります。特に、栄養状態や肝機能を確認する場合に有用です。

3.郵送検査
自宅にいながら測定キットを購入して調べることができます。自分の都合の良いタイミングで実施でき、誰かと対面することなく検査完了できます。
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◎治療方法

アルブミンが異常値(低アルブミン血症または高アルブミン血症)だった場合、治療方法は原因に応じて異なります。
アルブミンの異常値は、基本的にはその原因となる疾患や状態に対する治療が中心となります。

●低アルブミン血症の治療

肝硬変や肝炎などが原因 肝機能を改善する治療が行われます。薬物治療、生活習 慣の改善(アルコール制限、食事管理)などが中心です。
ネフローゼ症候群などの腎疾患が原因でアルブミンが尿中に漏れ出してしまう 体腎機能を保護する薬(降圧薬、利尿薬)や食事療法(塩分制限、タンパク質管理)が行われます。
栄養不良が原因 高タンパク質の食事を摂取することが推奨されます。食事から十分なタンパク質を摂取できない場合は、医師の指導のもとで栄養補助食品やサプリメントが処方されることもあります。
慢性炎症や感染症が原因 抗炎症薬や抗生物質を使用し、基礎疾患の治療を行います。
病状が重い場合 医療機関でアルブミン製剤を点滴で補充する治療が行われることもあります。これは、急速にアルブミンを増やす必要がある場合に有効です。

●高アルブミン血症の治療

脱水症状 高アルブミン血症の主な原因は、脱水症状です。この場合、水分補給や電解質バランスを整えることでアルブミン値が正常に戻ります。口からの水分補給が難しい場合、点滴で水分を補充することが行われます。
強いストレスや外傷、急性炎症が原因 ストレス管理や傷の回復をサポートする治療が行われます。

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アルブミンについて
アルブミンが低い場合は肝臓や腎臓の働きが悪くなっていることが考えられます
栄養不足や肝疾患・腎疾患などが考えられるため食事を見直したり肝機能や腎機能の改善を心がけましょう
また定期的な検査をすることが大切です