性病は放置では治らない!できるだけ早い検査と治療を
- ①性病は放置することで症状が緩和されたり、出なくなったりすることはあっても、完治することはまずありません。
- ②性病と思われるような症状や、「おかしいな」と少しでも違和感がある際には、できるだけ早く検査と治療を行いましょう。
今回は性病が自然治癒するのかどうかを解説します。
性病を放置した場合のリスクや、代表的な性病とその症状、検査方法などについても解説しますので「もしかして性病かもしれない」と不安に思っている方はぜひ参考にしてください。
性病はそれ以外のリスクを引き起こしてしまう可能性もあります。
気になっている方はできるだけ早く検査を受けましょう。
性病を放置していても自然に治ることはまずありません。
性病を放置して治ったという人もいますが、それは時間とともに性病の症状が軽減されたり、無くなったりしている可能性が高いです。
性病は性器が病原菌に感染することで起きますが、放置してもその病原菌が対外に排出されることはありません。
そのため、症状が改善したり無くなったりしたように思えても、性病が治ったとは言えないのです。
ごく稀に風邪やそのほかの病気などで処方された抗生物質を飲んで、性病が治ったという人もいます。
クラミジアなどの性病は抗生物質を飲むことで症状が緩和することがあるため、抗生物質が効いたと感じる人もいるようです。
ただ抗生物質を飲んだからといって、病原菌が100%体から消えるわけではありません。
そのままにしておくと、しばらくしてまた性病の症状が出てしまうこともあります。
放置することで症状が軽くなったり、全く無くなったりする性病があるのも事実です。
しかしその場合でも、性病は完治したわけでなく、静かに症状が深刻化していきます。
症状が出ないからといって性病を放置してしまった場合、どのようなリスクが考えられるのでしょうか。
1. 不妊症や無精子症になる
代表的な性病として知られるクラミジアに感染すると、男性には尿道の不快感や排尿時の痛み、女性には不正出血やおりものの増加が症状として現れます。
ただクラミジア感染で強い症状に悩まされる人は少なく、気づかないままになってしまう人もいます。
女性の場合、気づかないまま放置しておくと卵管で炎症を起こし、不妊症になってしまうことがあるので注意が必要です。
また同じく代表的な性病と知られている淋病に感染すると、男性は強い症状が出ることが多いですが、女性は症状が出ない人がほとんどです。男性は強い症状が出れば放置することはないと思いますが、なかには全く症状が出ない人もいます。
症状に気づかずにそのまま放置した結果、無精子症や不妊症になるまで悪化してしまう人も少なくありません。
2. ひどい症状が出る
一部の性病は、最初に症状が出てしばらくすると症状が感じられなくなるものもあります。
しかし症状が無くなったからといって、性病が完治しているわけではありません。
見えないところで性病の症状はどんどん進行し、最悪の状態になってしまう場合もあります。
例えば男女ともにひどい初期症状が出にくいクラミジアですが、そのまま放置していると男性は前立腺炎・精巣上体炎になったり、性器が腫れて強い痛みを感じたり、発熱を伴ったりすることもあります。
女性の場合も、卵管・卵巣・骨盤腹膜などで炎症を起こす可能性が考えられます。
また淋病の場合も、男性は尿道炎から始まり前立腺炎・精巣上体炎に、女性は卵管炎・骨盤内炎症性疾患・肝周囲炎などにかかってしまうこともあるので、放置しておいていいことはひとつもありません。
3. パートナーに移してしまう
性病を放置したまま性行為をすると、高い確率でパートナーにも性病を移してしまいます。
移した後にあなたが性病を完治させたとしても、パートナーが性病を持っている状態で性行為をすれば、再びあなたが性病にかかってしまいます。
これが俗にいうピンポン感染です。
4. 重複感染してしまう恐れがある
性病に感染している状態は、免疫力が下がっている状態でもあります。
そのため、感染した状態では他の性病と重複感染しやすく、完治に時間が要してしまい、不妊症や無精子症のリスクが高まってしまうこともあるのです。
5. 体の他の箇所に症状が出る
性病のなかでも梅毒は、性器以外の場所に症状が出ることでも知られています。
例えば皮膚や粘膜に発疹ができたりイボができたりするのも梅毒の症状の一つです。
梅毒は、3週間後、3ヵ月後、3年後のタイミングで症状が出る特殊なスパンがあり、感染して一度症状が出ても、治ったと思って放置してしまうケースが多くあります。
現代は医学も進歩して、抗生物質で完治させられるので、末期まで進行してしまうことは稀です。
ただ末期の状態では心臓や神経、血管にも重篤な症状を引き起こす恐ろしい性病として知られています。
6. 赤ちゃんに感染させてしまう可能性がある
性病のなかには、感染している女性が出産すると母子感染を起こしてしまう病気もあります。
母子感染すると、赤ちゃんに重い障害が残る可能性もあり、最悪の場合は命に関わる状態に陥ってしまうこともあるのです。
性病にはさまざまな種類がありますが、今回は代表的な性病4つとその症状について紹介します。
症状が似ている性病もあるので判断するのは難しいかもしれませんが、「おかしいな」と感じている方は、当てはまるものがないかチェックしてみましょう。
1. クラミジアクラミジアは日本での感染者数が最も多い性病です。
クラミジアに感染すると、男性は初期症状で尿道の違和感や、排尿時の痛み、尿道からサラサラとした膿が出るなどの症状が起こります。
女性は不正出血やおりものが増加、下腹部の痛みを感じることがありますが、男女ともに症状が出ない人も多いです。
また何かしらの症状があっても、女性の場合は月経痛と勘違いしてしまうケースもあります。
クラミジアに感染した状態でそのまま放置すると、男性は前立腺炎・精巣上体炎、女性は卵管や卵巣での炎症が起き、最悪の場合は不妊症になってしまいます。
感染してから症状が出るまでの期間は、1~3週間程度です。
2. 淋病淋病はクラミジアと並ぶくらい日本で感染者の多い性病です。
オーラルセックスやアナルセックスでも感染することがあり、男性の感染部位で多いのは尿道以外に肛門、女性は膣が一般的です。
淋病に感染すると男性の場合は、尿道炎や前立腺炎・精巣上体炎、女性の場合は卵管炎・骨盤内炎症性疾患・肝周囲炎などを引き起こしてしまいます。
淋病はほとんどの場合で何らかの症状が出ますが、なかには症状が出ない人もいるようです。
セックスでの感染率が30〜50%と高いため、パートナー間での感染が起こりやすい性病でもあります。
感染してから症状が出るまでは2〜7日程度と早いのも特徴です。
3. 梅毒梅毒は最近増えている性病の一つで、特に20代を中心として感染者が増えています。
梅毒の症状は感染してから3週間、3ヶ月、3年で強く出ることがわかっており、一回症状が出てもある程度の期間が過ぎれば症状が出なくなるのが特徴です。
感染力は非常に高いと言われており、感染してから3週間〜3ヶ月の間のことを第1期と呼びます。
男性の場合は亀頭、陰茎、性器周辺の皮膚、女性の場合は膣の中や性器周辺に痛みを感じないしこりができるのが特徴です。
また口腔粘膜・咽頭粘膜にも、しこりができることがあります。
鼠径部・頸部が腫れることもありますが、痛みはほとんど感じません。
感染から3ヶ月以上経過した時期のことを第2期と呼びます。
この期間では顔や身体中に発疹が出たり、赤茶色のイボなどができたりするのが主な症状です。
また陰部や肛門周囲の皮膚に扁平状のイボができたり、皮膚の一部が白く変色したり、手先・足先が腫れたり、脱毛を起こしたりとさまざまな症状が起きます。
発症から3〜10年程度経った期間が第3期です。
この期間になると関節や骨、内臓に硬いしこりやゴムの塊のようなしこりができます。
ただこの状態になった症例は、近年の日本ではほとんどありません。
10年以上経った期間を第4期としますが、この期間になると大動脈瘤形成・大動脈破裂、痴呆などが起こることがわかっています。
ただこちらも近年の日本ではほとんど症例が確認されていません。
4. HIVHIVに感染すると、発熱や咽頭痛、全身倦怠感、筋肉痛、関節痛などの症状が出ます。
また免疫力が低下するため、HIVに感染することで、その他の病気にかかりやすくなるのも特徴です。
HIVに感染後、エイズ指標疾患にかかることでエイズが発症したとみなされます。
残念ながら一度感染すると、HIVは完治できませんが、近年は薬での治療でエイズの発症を抑えられます。
性病の疑いがあると感じた場合や、パートナーに性病の疑いがあると感じた場合は検査が必要です。
また陽性になった場合は、速やかに治療を行いましょう。
■性病の検査
性病の検査は、病院の婦人科・泌尿器科・性病科などで検査ができる他、検体を検査機関へ送って検査してもらう郵送検査などでできます。
また各自治体の保健所では、匿名で無料の性病検査が可能です。
どの性病の検査が受けられるかは自治体によって異なるため、保健所のホームページを確認しましょう。
■性病の治療薬
性病の治療薬は飲み薬か注射、膣剤、クリームなどがあります。
性病の種類によって適切な治療薬が異なりますので、陽性になった場合は速やかに病院での治療を受けましょう。
クラミジアの場合は飲み薬1回、淋病の場合は注射1回で治療が完了しますが、性病の種類によっては1週間〜数週間の治療が必要です。
またどの性病の場合も、投薬が完了してから数週間後に再検査を行い、再発していなければ完治とみなされます。