- ①性病は処方された薬の用法容量をきちんと守って服薬していれば治癒する
- ②治療直後に確認検査を行うと「陽性」となる場合がある
- ③梅毒検査をする際は検査方法に注意する
性病治療後に確認検査をしたらまた「陽性」だったということが稀にあります。本当に再感染してしまったという場合や、治療が失敗してしまった場合などもありますが、もしかしたら、検査方法によるものや、検査結果の見方が間違っているのかもしれません。治癒確認検査の検査方法や結果について解説します。
性感染症の治療について
まずは主な性感染症の治療としては下記などとなっています。
※下記については第一選択薬ですので、アレルギーや妊娠中などといった患者様の状況により処方される薬は変わります。
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梅毒
アモキシシリン: 1回 500mg 1日3回 4週間投与 or
持続性ペニシリン筋注製剤のベンジルペニシリンベンザチン水和物(ステルイズ®): 1回 臀部筋注 -
クラミジア
アジスロマイシン: 1回1,000mg 1日1回 1日のみ
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淋菌
セフトリアキソン: 静注 1回1g 1日1回 単回投与
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トリコモナス
メトロニダゾール: 経口 1回250mg 1日2回 10日間
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カンジダ
クロトリマゾール膣錠・クリーム
性感染症は処方された薬の用法容量をきちんと守って服薬していれば、通常は治癒します。その後の、治療効果の確認検査においても「陰性」の結果が得られると思います。
しかし、場合によっては再度「陽性」となってしまったり、また「再感染」なの?と勘違いしてしまう場合があります。
治癒確認検査で『陽性』となるケース
性病が完治したか確認するためには確認検査を行いますが、確認検査で再び「陽性」が出てしまうケースもあります。
どんな時に再び「陽性」となってしまうかというと、性感染症の検査ではPCR検査が多く用いられています。PCR検査とは簡単に言うと、細菌やウイルスなどのDNAやRNAを増幅させて検出する方法です。
増幅させるDNAやRNAは生きた細菌やウイルスのものでなくても、死滅した細菌やウイルスのDNAやRNAも増幅・検出してしまいます。
そのため治療直後に確認検査を行うと死滅した細菌やウイルスのDNAやRNAを増幅・検出してしまうため、再び「陽性」の結果となってしまう場合があります。
それを避けるためにも、投薬開始後2~3週間程度経過してから確認検査を行うなどの対応が必要です。確認検査を行う場合は、治療時に医師に相談するのが良いでしょう。
『再感染』かどうか判断する検査方法
治癒確認検査で陽性が出てしまうと、実際には完治しているのに、また「再感染」なの?と勘違いしてしまう場合もあります。
梅毒検査においては、梅毒トリポネーマ抗体(TP抗体)と非トリポネーマ脂質抗体(主にRPR法)を同時に検査することが強く推奨されています。
それは、梅毒検査の感染判定には、TP抗体とRPR法の結果の陽性/陰性によって解釈が異なるためです。ここで、注意しなければならないことは、RPR法については治療をすれば徐々に値は低下し、いずれは「陰性」となります。しかしTP抗体については、治療後も多くの場合は持続的に「陽性」となります。
そのため、梅毒に既往歴がある方が梅毒検査をする際、TP抗体のみを検査すると「陽性」となってしまい、実際には現在感染していなくても、感染しているのでは?と勘違いしてしまう場合があります。それをさけるためにも梅毒検査をする際は梅毒トリポネーマ抗体(TP抗体)と非トリポネーマ脂質抗体(主にRPR法)を同時に検査することが必要です。
治癒確認検査をする時の注意
以上のように、検査方法によっては再度「陽性」となってしまう場合や、「再感染」と勘違いしてしまう場合などがあるため注意が必要です。
治癒確認検査を行う方や既往歴がある方は検査方法や検査結果の確認方法などを十分に理解しておく必要があります。
梅毒検査においては、梅毒トリポネーマ抗体(TP抗体)と非トリポネーマ脂質抗体(主にRPR法)を同時に検査することが大切です。病院や保健所で検査をする際にも、検査方法や結果の確認方法について、あらかじめ確認することをおすすめします。
GMEの梅毒検査はどちらも検査を行っているため、「過去の感染」か「現在の感染」かを判断することができます。
そうならないよう、検査方法や検査結果の確認方法についてしっかり確認をしてから治癒確認検査をしましょう。