GME医学検査研究所

性行為後に不安になる性病のリスクと
性病感染への対策方法

性行為後に不安になる性病のリスクと対策方法について解説

性行為後に性病について不安に思った方のために、性病の感染リスクや感染経路、性病予防のための適切な対策方法などを詳しくご紹介します。正しい知識を持って安心して性行為を楽しむために、ぜひ参考にしてください。

性行為後に不安になる性病リスク

◎クラミジア

クラミジアは主に性器と咽頭(喉)と直腸に感染します。感染部位や男女により症状が異なる為、それぞれの場合ごとにご紹介します。

【クラミジア】男性の性器感染の場合

男性の性器感染の主な症状としては「尿道炎」「精巣上体炎」などが挙げられます。
クラミジア性尿道炎は感染後1〜3週間で発症するとされていますが、自覚症状がない場合も多いといわれています。分泌物は漿液性から粘液性で、量も少量〜中等量と少ない場合が多いです。
クラミジア性精巣上体炎は、他の菌の精巣上体炎に比べて腫脹は軽度で、精巣上体尾部に局限することが多く、発熱も軽度である事が多いです。

【クラミジア】女性の性器感染の場合

女性の性器感染の症状としては「子宮頸管炎」「骨盤内感染症」「肝周囲炎」などが挙げられます。
クラミジアに感染すると1〜3週間で子宮頸管炎を発症します。
この経過中にクラミジアは子宮・卵管を経て上行感染により腹腔内に侵入し骨盤内炎症性疾患(PID)を発症します。さらに上腹部にも感染が拡がると肝周囲炎を発症します。
PID発症時に卵管炎となっていた場合、(卵管腔内の狭窄などにより)不妊の原因となることがあります。

また妊婦に関しては(絨毛膜羊膜炎の発症からプロスタグランジンが活性化され子宮収縮を起こし)早産、流産の原因となります。出産時は産道感染により新生児結膜炎、新生児肺炎を発症することがあります。

【クラミジア】咽頭感染の場合

クラミジアの咽頭感染は性器感染と比べて自覚症状が乏しいですが、喉の痛み、腫れ、発赤といった症状が現れます。また、治療も時間がかかると言われています。

【クラミジア】直腸感染の場合

クラミジアの直腸感染も咽頭感染と同様に自覚症状が乏しく、約70%は無症状であると言われています。症状が出たとしても軽い下痢や排便時の出血、肛門痛などです。

◎淋菌

淋菌もクラミジア同様、主に性器と咽頭(喉)、直腸に感染します。感染部位や男女により症状が異なる為、それぞれの場合ごとにご紹介します。

【淋菌】男性の性器感染の場合

男性の性器感染の主な症状としては「尿道炎」「精巣上体炎」などが挙げられます。
淋菌性尿道炎は感染後2〜7日で発症するとされています。症状としては排尿痛があり、尿道分泌物が出現します。分泌物は量が多く、黄白色で膿性といった特徴があります。
淋菌性精巣上体炎は、淋菌性尿道炎を治療しないでいると淋菌が管内性に上行することで引き起こされます。はじめは片側ですが、治療しないでいると両側性となります。治療後に無精子症を生じることもあります。

【淋菌】女性の性器感染の場合

女性の性器感染の主な症状は「子宮頸管炎」「骨盤内炎症性疾患」「肝周囲炎」などがあげられます。
淋菌性子宮頸管炎は男性と比べて無症状な事が多い為、感染から発症までの潜伏期間ははっきりしておりません。症状があらわれる場合はおりものの増加や不正出血がみられます。

骨盤内炎症性疾患は、子宮頸管からの感染が管内性に拡大することで発症します。おりものの異常や性交時出血、下腹部痛などの症状があると骨盤内炎症性疾患が疑われます。
肝周囲炎は骨盤内感染が重症化し炎症が上腹部まで達することで発症します。肝臓周囲に癒着が形成され、右上腹部痛があらわれることがあります。

【淋菌】咽頭感染の場合

淋菌の咽頭感染は自覚症状がない、もしくは乏しいことが多いですが、症状としては喉の痛み、腫れ、発赤などがあります。性器感染と比べて治療に時間がかかる傾向にあります。

【淋菌】直腸感染の場合

淋菌の直腸感染も症状が乏しいことが多いです。膿性や血性の直腸分泌物や下痢、下腹部痛、肛門性交時の痛み、肛門のかゆみや痛み等の症状が現れることがあります。

◎トリコモナス

【トリコモナス】男性の場合

一般的には無症状である事が多いですが、尿道炎や前立腺炎を発症する事があります。

【トリコモナス】女性の場合

女性は男性に比べて様々な症状が現れます。
泡状で悪臭の強いおりものの増加、外陰や腟の刺激感、掻痒感が挙げられます。またトリコモナスにより腟の常在菌のバランスが崩れ、腟炎も引き起こされます。

◎性器カンジダ

【性器カンジダ】男性の場合

男性の場合は症状を呈する事は少ないと言われています。症状を呈する場合は主に亀頭炎であり、亀頭部の掻痒感や違和感があります。
見た目の変化としては包皮や冠状溝、亀頭部に発赤や小水疱、びらん、白苔などがあらわれることがあります。

【性器カンジダ】女性の場合

主な症状としては外陰や腟の掻痒感やおりものの増量がありますが、ときに灼熱感、痛み、性交痛、排尿障害があらわれることがあります。
見た目の変化としては外陰部のむくみや発赤、白色おりものの付着などがあります。

◎梅毒

梅毒は皮膚や粘膜などに症状を呈する顕在梅毒と、症状は認められないが検査で陽性反応が出る無症候梅毒に分けられます。
顕在梅毒は第1期〜第3期に分けられますので、それぞれの病期ごとに症状をご紹介します。

第1期梅毒

感染から約3週間経過すると第1期の症状が現れます。小豆ほどの大きさで軟骨ほどの硬さの硬結(しこりのようなもの)が生じます。この硬結は次第に盛り上がり潰瘍を形成します。これらは一般的に痛みはありません。
更に症状が進むと鼠径部や所属リンパ節が無痛性に固く腫脹します。
これらの症状は放置しても2〜3週間で消失し、第2期に突入するまでは無症状となります。症状が消失しても梅毒が消えた訳ではありません。

第2期梅毒

第1期から更に進行し感染から約3ヶ月経過すると第2期になります。
全身の皮膚、粘膜の発疹や臓器梅毒の症状がみられます。第2期でみられる発疹は様々で、丘疹性梅毒疹、梅毒性乾癬、梅毒性バラ疹、扁平コンジローマ、梅毒性アンギーナなどがあります。

第3期梅毒

第2期から更に進行し感染から約3年以上経過すると第3期になります。結節性梅毒疹や皮膚組織にゴム腫を生じる事があります。現在では第3期まで進行することはほとんどありません。

◎肝炎

B型肝炎

B型肝炎の主な症状としては倦怠感、食欲不振、赤褐色尿、黄疸などがあります。また急性感染を起こした場合は急性肝炎を起こすことがあります。
劇症化の頻度は低いですが、劇症化を起こすと死亡率は高く、意識障害や血液凝固能の低下に注意が必要とされています。

C型肝炎

C型肝炎は一般的にウイルス感染から2〜3ヶ月で急性の肝障害を起こしますが、軽い倦怠感や食欲不振程度で気付かない人も多いです。
C型急性肝炎を起こした人のうち、30〜40%は自然に治りますが、残りは慢性肝炎となります。
慢性肝炎になると10〜15年程度の非活動期を経て活動期に以降します。活動期になると自然に軽快することはなく、慢性肝炎、肝硬変、肝癌と進行していく危険性が高まります。

どんな行為で性病に感染するのか

性病は感染者の体液や粘膜と非感染者の粘膜が接触することで感染する恐れがある為、基本的には性行為(口腔性交や肛門性交などを含む)で感染します。

1.クラミジア、淋菌について

クラミジアと淋菌は人体から離れると感染力を長時間保つ事が出来ない為、直接、体液との接触リスクのある性行為以外での感染経路はほぼ考えられません。
口腔性交の増加により咽頭に感染する例が増えています。また、肛門性交により直腸に感染します。

2.トリコモナスについて

トリコモナスも基本的には性行為で感染します。しかし性交経験のない女性や幼児でも感染が確認されています。
トリコモナスは人体から離れても水分があれば他の性病より長時間感染力を保つ事が出来る為、下着やタオルの共用、便器や浴室を通じた感染などが知られています。

3.カンジダについて

カンジダは性行為でも感染する恐れはありますが、性行為以外でも様々な原因でカンジダ症を発症します。
カンジダは真菌で人間の常在菌ですが、抗生物質の使用で常在細菌の量が減り、常在菌のバランスが崩れカンジダが増殖し発症する例が多いです。また、糖尿病や消耗性疾患などで免疫力が低下した場合でも発症することがあります。

カンジダは性感染症と捉えることも出来ますが、日和見感染症としての側面も持っています。

4.HIVについて

HIVは体液を介して感染する為、主に性行為により感染します。特に新規感染者の90%以上が男性の為、男性の同性間性的接触のリスクが大きいと考えられています。
また、女性が妊娠時に感染していると母子感染をおこす恐れがあります。

5.梅毒、B型肝炎、C型肝炎について

梅毒、B型肝炎、C型肝炎も体液を介して感染する為、主に性行為によって感染します。
また女性が妊娠時に感染していると母子感染をおこす恐れがあります。

性病を予防するためには

性病の感染予防に大事なことは以下の2点であると考えられます。

・コンドームの着用
・定期的な検査

前項で紹介した通り、性病の共通した感染リスクは体液を介した感染となります。体液の接触を断つにはコンドームの着用が効果的です。

また定期的な検査も非常に効果的であり、性病は、一回でも性交経験があれば、症状がなくとも誰でも感染している恐れのある感染症です。
検査結果が陰性でも、その後に一回でも性行為があれば感染を否定することは出来ません。万が一検査結果が陽性であった場合は治療し、治癒確認検査で陰性を確認出来るまでは性行為を控え、パートナーの方にも検査してもらう事が重要です。

正しい知識をつけて安全な行為を

正しい知識のない性行為には性病のリスクがつきものです。症状が出ないこともある為、知らないうちに感染したり感染させたりしてしまっているかもしれません。自分とパートナーを守る為、性病についての正しい知識を身に着けましょう。
また、定期的な検査を行い、自身のカラダやパートナーのカラダについて、しっかり知っておきましょう。

性病のリスクについて
性病の知識がないまま性行為を行うと症状が出てもすぐに性病だと気がつかない場合があります
症状が出ないケースもあるためパートナーと一緒に定期的な検査を受けることとコンドームを正しく使用して感染を予防しましょう